「Solarisと言えばUNIX」ではなかった。「UNIXと言えばSolaris」というのが私の中での昔からの印象である。Sparcマシンは個人で使えるはずもない高価なものだったから憧れだったのかも知れない。
Linuxがエンタープライズ系で普及して来た頃に、Windowsサーバーとしのぎを競い、すっかりシェアを奪われていたSolaris(Sparcマシン)であったが、ようやく時代の流れを理解しSolarisをオープン化したSUNの判断は正解だったとここに来て言える状態になった様だ。
再びシェアを取り返しているようだ。ただしSparc版ではなくIAサーバー上で動くX86版が。
当時の記憶はまだ新しく残っている。古くなったUNIXサーバーが、X86で動くLinuxにどんどんリプレースされて行った時期があった。あの頃はRedhatとSuSEが好調でIAサーバーが売れまくっていた。何しろSUNのSparcマシンに比べれば、IAサーバーなんてオモチャの様な金額で購入出来たのだから、高性能で安価なIAサーバーを選ぶ企業が増えたのは当然の流れである。丁度更新の時期が重なっていたのも当時のSUNにとっては痛かっただろう。
もちろん日本人という性質から、よそよりも先にという積極的な姿勢は希であったから、徐々にLinuxサーバーがエンタープライズ系で使えるという噂や実績を耳にするようになってから、「それでは我が社も」という連鎖反応が起こったのは言うまでもない。それからは怒濤のようにLinuxサーバーが普及し始めた。業界では表面的にWindowsサーバー対Linuxサーバーと言う見出しで報道されたが、実質はSUNのマシンがLinuxで動くIAサーバーに置き換わっていた。決してWindowsサーバーの市場をLinuxサーバーが食い荒らした訳ではなかった。WindowsサーバーはWindowsサーバーでなければならない場合が多いから単純ではなかったのだ。
どんどんリプレースされていくSUNのSorarisマシンは当時の事業戦略のままでは売れるはずが無かった。不況まっただ中でわざわざ高価なシステムを導入する会社はほとんどあり得ない。そして風はLinuxに追い風だった。当時、もしかするとSUNはつぶれるかもな?と本気で思った。私は体調を崩して仕事が出来ず、自宅でIT業界のニュースをウォッチする日々が続いていた。
まもなくSUNはSolarisをオープンソース化すると発表した。画期的な事だと思ったし信じられなかった。ようやくSUNはオープンソースの実力を認め、理解し、応用しようと行動に出た証拠だからだ。すぐには実績として表れなかったが、X86版のSolarisを正式にサポートするハードウェアベンダーが少しずつ現れ始めた。IBMのブレードセンターがSolaris10をサポートしたのが当時の私には印象的であった。IBMは時代の変化をキャッチするのが非常に早いからだ。
あれから数年経過したが、地道にSUNはSolaris10でUNIXサーバーのシェアを取り戻してきた様だ。やはりプラットフォームはX86のIAサーバーだったが、Solaris8からX86版を持っていたSUNはここに生き残りの全てを託したのではないかと思う。もしもX86版をSolaris10から始めていたらきっと間に合わなかっただろう。
今更いうまでも無いがSolaris10は非常に魅力的なUNIX OSである。古くからUNIXを使い続けてきた人にとっても慣れ親しんだOSだし、新しい技術も積極的に導入される等、素地は文句のつけようもないOSだと思う。そしてなによりも積み上げてきたUNIX OSとしての実績は本物だからだ。SUNが一度沈みかけたのは時流を読めなかった事が大きな原因だと思うが、ぎりぎりのところで方針を変更しよく立ち直ったと思う。
ユーザー的視点から願わくばもう少し開発に積極性を持ってほしいという点だ。デバイスドライバの少なさはLinuxと比較してもかなりの弱点である。コマンド等もかなり違うためLinuxやBSD育ちのユーザーとしてはSolarisは敷居が非常に高いUNIXである。
もっとも、ミッションクリティカルな状況で使用するというレベルのOSと割り切るならば、それはそれでそういう技術者が面倒をみれば良い訳だし、SUNがそれを望んでいるのであればそれまでだとは思う。しかし今のままでは私はSolarisを使おうという気にはなれない。限られたジャンル、用途だけで良いというのであれば今の路線のまま進むのだろうが、個人的には仕事レベルでは踏み込んで行けない現状に悔しい感じがする。


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