ブーツの手入れ
愛用のブーツ、レッドウィング2268と8268も年数を経て結構汚れて来ました。特に8268はバックスキンなので汚れが落ちにくい&色が目立ち やすいです。汚れをアジという表現もされるようですが、私は汚れは汚れで、全体的な色や革質の変化などはアジだと分けて考えています。
クリーナーも数種類持っていますが、やはり手軽に済ますにはそれなりの効果しか得られません。ここいらでちょっと本腰入れてクリーニングすることにしました。今回はサドルソープの出番です。(通常の石鹸はアルカリ性なので革には劇薬と思ったほうが良いらしいです。)
革製品に水はご法度と言う印象がありますが、私は子供の頃は野球少年だったので、牛革のグローブのメンテナンスでもって、なんとなく革製品の手入れというのは体感的に覚えているものがあると思っています。もちろん屋外で野球をやっている時に大雨に降られてグローブがぐっしょりびしょ濡れとかも有る訳ですが、 それでグローブがダメになったという事はありません。もちろん帰宅してから手入れしてましたけどね。(昔はグローブなんて数万円の高級品で、そうそう買い替えてもらえる金額じゃなかったのですよ。)
革製品と水は実に面白いもので、水に濡れるとコシが無くなりクテクテになります。つまり柔らかくなっちゃうんですね。しかし乾燥させちゃうとオイルが抜けた部分がカチコチになります。この性質を使って、今ではビンテージもののブーツをメンテンする時、まず霧吹きでシュッシュと水を染み込ませて柔らかくしてから柔軟性を取り戻させるという事はやります。いきなり固い革を無理やりクシュクシュする人が居ますが、革の繊維にダメージを与えるだけですから危険だと思います。
昔、長嶋茂雄氏が、息子(一茂氏)にグローブの慣らし方を教えているのをテレビで見た記憶があります。グローブでボールをキャッチする重要な位置にボールを入れて、グローブをひもで縛って、お風呂の湯気に晒していたと記憶しています。残念ながらウチのオヤジは野球少年だった私にそういう知識を教えてはくれませんでしたが、私が失敗しながら経験から学んだ方法もそれと同じじゃないかなって思います。
実際、一番最初のグローブは、オイルを塗りすぎでコシが無くなりクニャクニャの状態になって使いづらくなってしまいました。上達して買い替えてもらった時にはそういう失敗経験は活かしていたと思います。
専用オイル
そういう訳で本題のブーツですが、私は水濡れはそんなにシビアには考えていません。特にレッドウィングのブーツは多少のことでへこたれるようなヤワ では無いのでその点は楽観視しています。霧吹きでシュッシュしながら、サドルソープで汚れを浮かせて、雑巾で汚れとサドルソープを拭き取ります。8268 の場合は繊維に入り込んでいるので、使い古しの歯ブラシを洗浄して活用します。本当は豚毛のブラシが良いです。何度か繰り返すと汚れ(繊維に入り込んだホコリ)が取れて結構いい感じに蘇ります。
ついでにクセがついて来た部分を柔らかくしておきます。履きやすくする為に意図的に柔らかくするというのはブーツのメンテナンスでも重要です。野球のグローブでも当然 ながらこの方法は使っていました。とりあえず「やり過ぎない」程度に霧吹きで水を含ませます。芯まで染みこむのを待ちつつ、サドルソープでの汚れ落としを終わらせます。
さてここからは暖かい部屋でやりたい作業です。なぜかというと柔らかくする作業にはオイルを使うからです。オイルは温かい方が溶けやすいので革の繊維に入りやすいです。個人的にはリキッドタイプが浸透性が高く扱いやすくオススメです。
ミンクオイルはペースト状になっていますのでそのまま塗ると表面だけベタベタになります。指先で塗る事により体温で溶けて液状に近くなってくれますが革の繊維の奥まで入れるのは難しいかも知れません。やはり浸透性の高いリキッドタイプがオススメです。
特に冬場は気温が低いのでミンクオイルはなかなか液状になりにくいです。温風が出るヒーターの前で暖まりながらじっくり取り組んだ事もあります。汗をかく位気合いれてやるとオイルが溶けて良い感じに染み込みますが非常に疲れます。
私の好みとしては、ブーツ全体はしっかりしていつつも、クセのついた部分(シワ)は柔らかくあって欲しいと考えています。それが私の足にフィットしたマイブーツだからです。
変なクセは 付けたくないので、無茶苦茶に踏みつけるとかはあり得ないですね。結構若い人がこれやっちゃってるみたいで、そんなにせっかちに乱暴にしたらあかーんと言いたいですね。
革製品は乱暴にしても良いことはありません。ヤフオクで時々そういう痛々しい目に遭ったと思われる2268/8268の売りを見かけますが嘆かわしいですね。特に踵が潰れてるのとか最悪です。んなもん要らねーっつうの。一度どうしようもないクセがついた靴はジャンクで価値がありません。
さてシワの部分(柔らかくしたい)に、オイルを指先に取って少しずつ刷り込んでいきますが、先ほど霧吹きした水分をしっかり取り除いてからオイルを擦り込むので、雑巾は必須アイテムです。雑巾で確実に水分を吸い取ってからオイルを塗り込みます。完全には水分が取れないと思うので、オイルもあんまり入りません。だからオイルを塗り過ぎないようにしましょう。無理なものは無理ですからベタベタになるだけです。
特にバックスキンの場合は取り返しがつかなくなるので、表皮にはオイルを塗らないのは最重要ポイントです。バックスキンの場合は柔らかくしたいシワ部分にブーツの内側からオイルを塗ります。塗りすぎにはやっぱり注意が必要です。体温で溶かしながら革の奥まで浸透させましょう。バックスキンは繊維に絡みつくのでミンクオイルではなく、サラサラした専用リキッドオイルを使うべきでしょう。いずれにしても水分を含んでいるのでオイルはあまり染み込みません。
ちなみにこの作業一発で完成させようというのは甘すぎます。革製品の手入れは何度かに分けて時間(歳月)をかけて育てていくのが王道です。そうやって愛着も湧いていくし、ジワジワと自分の足に馴染んでくれるのです。そうすると自分の足にフィットして手放せなくなり、お金を出してソールやヒールを交換してでも 一生履こうと思えるブーツに仕上がります。こういう手間を惜しまない人は本当のブーツ好きでなんでしょうね。
作業が終わったら、今度は新聞紙の出番です。新聞紙を内側に軽く詰め込んで水分を吸収させます。その状態で比較的風通しの良い屋内に置いておきます。直射日光は当たらない方が良いと思います。数日経って水分が飛んだら、早々にボロ布で表面に残ったオイルを拭き取ります。そして豚毛のブラシでブラッシングします。シワの目に沿ってブラッシングすると細かい所までオイルが入り、また余分な油をブラシが吸い取ってくれてGOODな状態になります。ブラッシングは必須メンテナンスです。
ここで全体をチェックして、オイルが抜けている部分には補充してやると良いですが、ここでもオイル塗り過ぎは絶対にダメです。乾いているとオイルが入りやすいので調子に乗ってしまい勝ちですが、ぐっと我慢しながら少しだけ薄く塗りましょう。必要最小限でオイルを補充したら、ワックス的なクリームを併用しています。その方が雨濡れや汚れにも強くなります。
重ね重ねコメントしておきますが、バックスキンの8268の場合、表面へのオイルの塗り込みは絶対にやめましょう。乾いてからオイルを塗ったところがシミの様になり格好わるいですしグリース状のベタベタには汚れが嫌になるほど付着して取り返しがつかなくなります。
革のすべすべした側から適量塗っておけば、革の繊維にじわじわと染み込み周辺にオイルが浸透していくので殆どわからなくなりますが、バックスキン側からのオイル塗りは最悪にダメです。ベタベタに塗ったりしたら、サドルソープで洗っても取れず、もうどうしようもなく御臨終って感じでアウトです。
特にバックスキンにミンクオイルは最悪です・・
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