WordPressと言えばブログと言う印象が強いのだが、実際に小規模サイト用のCMSとしてカスタマイズできないものか試行錯誤していると、WordPressも十分小規模サイト用のCMSとして、ベースになることが最近ようやく理解できた。複雑なサイトや複数ユーザーでの運用を考えればWordPressでは事足りないケースも想像できるが、たとえばSOHOやフリーランス、個人商店などの事業紹介用として使う程度なら十分利用できるだろう。
WordPressを試用してみて気づいた点を記してみようと思う。
まず、WordPressを使うために必要な環境である。
- PHPが使えること
- MySQLが使えること
- Webサーバ(Apache等)が使えること
正確にはWordPress日本語サイトで確認して欲しいのだが、比較的要件は低いと感じられる。いわゆる自宅サーバの様に好き勝手できる環境ならLAMPやWAMPで余裕だし、レンタルサーバでもMySQLが使用出来るなら恐らく大丈夫ではなかろうかと思う。私はチカッパレンタルサーバで試してみた(15日試用)が非常に快適だった。既にCMSの普及度があがっておりレンタルサーバでSQLが使える事は当たり前になってきているので敷居は低いと思われる。
次に動作について調べてみる。
ネットで下調べすると、Movable Typeに比べると動作が重い(遅い)という情報を読むことが多々ある。しかし私が自宅のサーバ及びチカッパで試してみた限りでは圧倒的にWordPressの方がレスポンスが良く全く逆の結果に驚いてしまった。MTの場合は静的なページを生成する「再構築」の待ち時間も無視できない。投稿数が多くなると案外これがストレスとなることが多いからだ。WPはアクセスのその都度動的にページを生成するため「再構築」という概念は無く、ページ生成の手間や待ち時間は発生しない。その代わりページへのアクセスが多ければ多い程、SQLサーバへの負担がかかるという予想は出来る。人気サイトを作ってしまった場合は、レンタルサーバでは転送量制限にひっかかる可能性は否めない。
いずれにしろ、これらのことからSQLのレスポンスが大きく影響していると思う。悔しいかな我が家の自宅サーバよりもチカッパの方が速くて快適だった。我が家のサーバは何しろ古い(K6-450MHz)から当然と言えば当然なのかも知れない。ちなみにMySQLは別のマシン(K6-350)で動かしている二台構成だ。OSはLinuxとFreeBSDの最小構成から作ったもの。極力軽く仕込んである。
さて、WordPressで出来ることと特徴的な事を書いてみようと思う。
- テーマ(デザイン)が簡単に切り替えられる
- テーマ(デザイン)が豊富にネット上で配布されている(但し日本語は少ない)
- テーマ(デザイン)をカスタマイズできる(ほんの少しだけPHPを理解する努力が必要)
- プラグインで拡張できる
- 投稿とは別に独自ページを作成できる
- トップページを固定することが出来る
- カスタムフィールドを使用出来る
もちろんこれ以外にも特徴はあるのだが、オープンソースの無償ソフトウェアでここまでのことが実現されているのは非常にありがたいことである。MTもMTOSというオープンソース無償版を提供しているが、私にとっては圧倒的に軽いWPの方に魅力を感じる。MTは大手サイトにも対応させるべく既に大きく重くなりすぎたのではないだろうか。カスタマイズするにもかなり複雑な構造になっているため、構成を把握するのが困難である。もちろんMTは商用のCMSだから当然なのかも知れないが、それを考えた時にはWPのようなシンプルな構造を理解する方が近道で、ほんの少しだけPHPの雰囲気を感じ取ることが出来たらMTOSよりも手軽に自分の目指すサイトを作れるのではないかと思う。小規模、個人利用に向いているのはWPの方だと思える。
もちろんMTで色々なサイトを作ってきた人にとっては、慣れたMTOSは当たり前の選択肢だとは思う。そして日本の多くの企業の場合は、完全なオープンソースよりも有償版を好む傾向が強い。企業ユースではユーザーサポートなり保障を重視することが多い。Microsoft社の製品が普及したのが一例だろう。しかしそこまでのスキルの無い人にとっては、MTは大きすぎる仕組み故理解が容易ではなく、WPをチョイスする方が近道を通ることが出来ると私は思う。
さて、問題と言うか課題もある。テーマが世界中で作られて配布されているWPだが、多くは英語もしくはそれ以外の国の言語である。英語でも苦労するのに例えばドイツ語だったりすると、ローカライズには苦戦を強いられる。その現実を知ると多くのWP初心者は、ほぼ間違いなくWPを敬遠することになるだろう。事実私がそうであった。しかし少し調べてみると別の事実も見えてくる。WPは世界中で最も多く使用されているブログ系CMSである。つまり多くの国の人たちが自分の好みに合うようにカスタマイズして使っているのである。ドイツ語のテーマを気に入った人がフランス語にローカライズしている事も想像できる。 ということは日本語も同じ事と考えてよいのではないだろうか?
ここでは、そのためのはキーワードしか記さないが、WPではgettextを使った文字列置き換えの仕組みを採用する事で多言語に対応する様に元から配慮されている。PoEditというツールを使えば比較的容易に翻訳(文字列置き換え)作業が出来る様な仕組みになっている。ただ残念ながらgettextを使う事を考慮したテーマはまだ少なく、hogehoge.potファイルを同梱していないテーマが多い点はこれからの課題ではないかと思う。恐らくテーマ作成のためのガイドラインが十分周知されていないのだろう。しかしそういう仕組みがあるから、積極的に活用すれば日本語ローカライズを自分で比較的少ない労力で行うことも出来るし、自分流の翻訳や好きなメッセージに変えてしまうことも出来るという訳である。弱みを強みに変えることも発想次第で十分可能と言える。カスタマイズする余地が残されていると言っても良いからこれは必ずしも弱点とはいえなくなってくる。
まだ使ったことの無い方の為にWP本体で案内されているThemeサイトをご紹介しておこう。膨大な数のテーマがあるので、お気に入りが見つかるか探してみると良いだろう。
WPは比較的軽いPHPアプリケーションである。この軽快さを実現しているのは、WP本体を構成しているPHPファイル群と、表示系PHPファイル群(テーマファイル)を分離している点だろう。同様にプラグインも分けられている。つまり多くの場合は表示系をカスタマイズすれば十分要件を満たすことが出来るであろうから、好みに合うテーマファイルを探してきて、Themeフォルダにアップロードして読み込ませ、テーマを切り替えれば骨組みは出来上がってしまう。構成ファイルにApacheからの書込み権限を与えておけば、WP上から「デザイン>テーマエディタ」とすれば、スタイルシートや各PHPファイルを編集することが可能であり、後はCSSをいじったり、PHPファイルをいじったりすれば比較的少ない労力でお望みの入れ物を作り上げられるだろう。
もちろん、WPでは出来ないこともあるだろうが..
さて、WordPressというブログ専用とも思われるCMSを敢えて「小規模サイト向けCMS」と題してみた訳だが、私は一週間弱使ってみた感触から、ちょっとした企業のホームページや、個人商店の案内と商品紹介などは十分出来るという確信を持った。もちろんメールフォームを設置したいとか、Google Mapsを表示したいとか言うニーズも出てくるだろう。それらはプラグインで実現出来るので比較的少ない労力で実現出来るからあまり問題ではないと気楽に考えてよいと思う。
まずはWordPressというCMSをいじってみることをお勧めする。ネットに膨大にあるテーマを探してきてどんどん入れ替えてみて欲しい。そうすると不満点などが見えてくる。それを解決する方法を探してみれば、ネット上で色々な情報が検索できる。恐らくMT3系から移行して大きくなりすぎたMT4系(MTOS4系)に比べれば見通しも良くPHPの初歩知識だけで対応可能だと思う。何よりもテーマを手軽に入手できるという点はMTとは全く違う手軽さを提供してくれる。テーマには色々なテクニックが使われており、それがそのままサンプルになるから、ちょっと努力するだけでテクニックを学べる(盗める)というのは何よりも魅力ではないだろうか?お金が発生するMTでは企業ノウハウは企業秘密であり、これはまず有り得ない。
私はJoomla!にも興味を持っているが、近道を通るために今はWordPressのより深い理解に努めている。個人&小規模のニーズには十分こたえてくれるシンプルなCMSだと言って間違いないと思う。後は使う人のアイディア(発想)次第で色々なことが出来るだろう。日本でもMTやWP使いの有名な方が色々なテクニックを惜しみなく公開して下さっているから、安心して試して見ると良いと思う。WPユーザーが日本でも増えてくれば、MTとの勢力図が変わってくるかも知れないし、今はそれをちょっと期待したい心境である。


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