昨年の受験を振り返ってみる
2015年度の技能試験で合格出来て、今日ようやく免状を手に入れることが出来た私ですが、学科試験は2014年度(昨年)に合格できていました。つまり昨年は実技試験で落ちた訳で、一年間の免除猶予を使って今年は技能試験のみ受験した訳です。
はっきり言って昨年の時点で、技能試験はなんとかなるんじゃないかと思っていました。というのもバイトで電気工事の手伝いをしていて色々教わりながら実務もやっていたのと、自分自身は電子回路を中学生の頃からやってましたし、社会人になってからも電子回路をいじる仕事をしていましたから、ニッパーやペンチ、ドライバー等の工具の扱いも別に苦もなく行えたからです。電工の電線(銅線)が太くて硬い事についてはカルチャーショックでしたが。
電気設備施工の手伝いをしながら見て覚えたし、ちょっとしたコツを教わったりしていたので、多分出来ると思っていました。別に難しいことじゃないなと。
ただ、今の職場関係で電気関係の専門職の知り合いに受験する事を話した際、「技能はポリテクの講習会受けておいた方がええよ」と言ってくれたのが気になりました。それでポリテクの講習会を調べたのですがタイミング悪く募集してなくて、「もうええわ、ぶっつけ本番で行こう・・」という半分投げた感じになってしまったのが実情です。
技能試験を甘く見ていた?
試験を受けるにあたって、工具はHOZANの受験セットを買いましたが、「まぁ大丈夫でしょ」という感じでした。
手元にあったクズ電線の被覆を剥いてみたり、輪づくりをしてみたりして少し練習したら本に書いてある通りに作れるので行けるだろうと思って受験しました。
一応ヤフオクで動画(DVD)を買って視聴してみました。(後にこの雑な説明動画が敗因だったと気づきました。私には合ってなかった。)
そんな昨年のぶっつけ本番試験、実技試験では40分の制限時間ギリギリでした。単線図から複線図を起こすことは結構練習して行きましたし、そこに時間はかからなかったと思います。それでも本番は妙な力が入るもので実技の課題制作途中で一箇所痛恨のミスをしました。
それで焦って舞い上がってしまい手直しをしている最中にペンチの根本で指の皮膚を挟んで出血してしまい(ビニールテープを巻いて止血し復帰しましたが)、無駄な時間をロスしてしまった上に更に時間をロスするという始末でした。
ここでもう少し詳しく記すと、試験の中盤にふと顔を上げてしまい、周囲を見てしまったところ、ほとんど出来上がっている人がいたのです。それを見て焦ってしまい無意味な緊張をしました。電気工事士の技能試験は人と競争ではありません。制限時間を上手に使うのが課題です。最初のミスをしてしまった事が敗因でした。
時間ギリギリで仕上げて簡単に見返す時間が取れるくらいで仕上がったのですが(ミスなく出来てると思った)、試験が終わったあとで妙に気がかりな事が出てきました。リングスリーブを圧着する工具の大きさ(刻印が残る)を一箇所間違えてしまったかも知れないと言う不安でした。
これは重大過失なのでミスすると一発で不合格の項目です。めちゃくちゃ不安になり一ヶ月近く待たされて不合格通知を受け取りました。何が不合格の原因だったかは知らされないので正確にはわかりませんが、とにかく圧着ミスによる一発不合格の可能性は大きいです。
今年(2015年)は技能講習を受けた
高知県主催の技能講習の費用は17,000円でした。内容としては4日(4回)かけて教えて貰えます。線材や器具は全て用意してもらえるとの事だったので、いやらしい話ですが損得勘定で計算することにしました。
技能講習を受けずに今年も自力で挑戦したとして、もし不合格なら来年は筆記試験+技能試験を受けなくてはならない。もちろん受験費用はまたも10,000円ほど必要です。
筆記試験は一度合格しているし、コツは覚えているので免除が無くなった来年もう一度筆記を受験しなおすとしても合格出来る自信はあります。でも無勉強で合格は難しいです。仕事の合間(プライベートの時間)を使って要点だけでも勉強し直すしかありません。
この時間をお金に換算するといくらになるだろう?
ああ人生の貴重な時間を無駄使いだな・・
更に技能試験を今のままのスキルで、もう一度受験しなおしたとして合格出来る確証はありません。また落ちる可能性も大きいのです。
そうなると私の性格として「もうええわ・・」ってなりそうだなと思いました。せっかくあと一歩というところまで来ているのにそれは勿体無い。
こういう算段の末、合格率が格段に上がる技能講習費用17,000円は高くない(むしろ安い)と思いました。電線から電材、全ての材料を用意してくれるし、専門の先生が付きっきりで教えてくれるし、制作物(課題13個分)は持ち帰って復習出来るという事なので無駄が無いと思ったのです。
持ち帰ったスイッチとかコンセントとかは、後々、家の中の電気器具保守にも使えます。
自分で練習用の部材を準備する場合は、必要な分をリストアップしてホームセンター等で買い集めてくる必要があります。それなりの費用も必要です。サラリーマンとして働いている身としては日中は時間拘束されていますし、貴重な休日を使って部材を買い集めるのは面倒な労力です。
技能講習受講の効果
結果的に、毎週日曜日、朝から夕方まで4回(4週)かけて受講した甲斐はありました。
まず自分の癖を自覚出来たことは大きいです。私の場合些細なミスすると平静を装っていても内心は動揺してしまうらしく、次の些細なミスをしでかすパターンが襲ってきます。このままミス連発に陥ると間違いなく昨年の二の舞いで不合格だったでしょう。受験前にこの弱点を自覚できたことは大きな収穫でした。
次に手順の無駄を省くことが出来ました。不合格になった昨年の受験では、ヤフオクで買った雑な手順のDVD動画を観た手順を真似てしまいました。同じ作業を繰り返す手法で、電線を指定の長さにカットしたら両端の被覆を剥いてと、どんどん進めていく方法を取ったのですが、この方法は自分にとっては大きなデメリットが待ち構えていました。
被覆を剥いたVA線は、後から器具を取り付ける時に、この線どこの部分だっけ?という混乱を招き結局時間をロスしました。受験時の狭い机の上で作業していると、きちんと並べることが出来ませんので、被覆を剥いた線材がどこに使う線なのか混乱するのです。同じ作業の繰り返しで効率アップのつもりが混乱を招くとは逆効果で意味がありません。結局ロスするので意味がありませんでした。
自己分析して手順を改善した
今年はVA線の片方を剥いたら確実に片方に指定の器具を取り付けて、もう片方は被覆を剥かずそのまま残す方法を選びました。こうすれば片方に器具が付いているので、どの部分に使う線なのか分からなくなることはありません。
そしてリングスリーブや差込みコネクタで結線する側はまとめて単純作業で処理する方が効率が良いと判断しました。本当の意味での効率アップ(まとめて単純作業を繰り返す)です。
もちろんこの事に気づいたのは、13課題の模擬練習で試行錯誤している途中のことです。人それぞれにとって正解という手順は無いと思うので、自分に向いている方法を気づいてそれを選択するしか無いと思います。もしくは教官から「こうしてみたら?」とアドバイスされた手順を忠実に守るとか。
いずれにしても自己分析が必要です。それには講習を受ける、独学で慣れるのいずれにしても修練によるきづきが必要です。
13課題もの工作を繰り返していると工具の癖も自ずと把握出来ますし、どんな工具でもやはり慣れは必要なのです。受験用に作られたストリッパーは慣れてくると確かに使いやすいと感じました。つまり工具に慣れるまで繰り返し使わないと良さに気づかない=慣れていないという事です。
昨年の受験で他のミスをしてたかも
加えて衝撃的なこともありました。
不合格になった年には気にしていなかった器具への取り付けの被覆を剥く長さが、実は定められていた事を技能講習を受けてはじめて知りました。昨年の受験では外装被覆を剥き過ぎていたかも知れないという事がわかったのです。
もしかしたら昨年の不合格の原因はこういう些細な事が過失として減点されていたかも知れません(自分では大丈夫だと思っていた)。こういう細かいところまで技能講習では指導してくれるので減点を可能な限り少なく出来ます。
また、試験官も人の子ですから、ひと目で綺麗にきちんとできていると見える作品は要点のみで簡単なチェックで済まします。第二種電気工事士は電気科の高校生なども受験しますから受験者数がかなり多くなり、限られた試験官で全ての受験者の作品をチェックするのは難しいからです。
一方、細かい不備が見て取れる作品は、細かくチェックしようと思うのは心理でしょう。どうしても見た目が怪しい作品は念入りにチェックされ減点が多くなります。そうなると根掘り葉掘りチェックされるので些細なミスを発見されて合格出来る可能性が更に下がります。
逆に言えば、見た目がきっちり仕上がっている作品は、多少のミスがあっても大目に見てもらえるというメリットもあります。試験官も人の子ですから、ぱっと見でできてると思ったら要点だけさらりとチェックして合格としてしまうと思います。
教官からは、
「一目でケチのつけようのない(と見える)作品づくりを心がけるのがコツだ」
と教わりました。この教官も試験官として試験に立ち会ったことがあるそうですから間違いないでしょう。つまり見た目はかなり重要ということです。
しかし余裕が無いと見た目を整えながら組み上げるのは難しいです。やはり反復練習しか無いでしょう。練習で見た目もきっちり仕上げられる様になれば格段に合格の可能性はアップします。
技能講習受講のススメ
はっきり言って4日(4週)費やして13課題+3課題を練習するのは疲れました。でもこれが良かったと思います。
最後の方には慣れてきて、頭の中では先の手順を考えながら、一方で手が勝手に工具を使って処理をしているということに気づきました。車を運転しながら何か考えてるみたいな感じです。考えていることと別の事を手で作業していると言うことは、工具の扱いに慣れてきた証拠でしょう。
しかし無意識で手が動いているので、うっかりするとうわのそらで注意点を見落としている可能性もあると気づき、試験の時は注意しなくてはならないなと思いました。たった4日の技能講習で(自宅でも復習はしたけど)それくらい無意識で出来るようになっていたのです。
結局、実技(技能)の練習は、「正しい手順を覚えて忠実に繰り返す」ということにつきると思います。技能講習最初の頃は40分ギリギリで作っていた課題でしたが、3週目くらいになると25分位でミスなく出来るようになっていました。講師からも手が早くなったし作品も綺麗に出来ていると評価して貰えました。
工作手順の中で自分なりのルールを作った
技能講習の中で正しい手順を覚えたので私なりのルールも設定しました。
例えばランプレセプタクルへの結線には色々な注意点があります。まずは輪づくりをしてネジ止めをしますが、ネジを締め付ける向きと同じ向きで輪が取り付けられなくてはなりません。そして接地側には必ず白い線を接続するという事も重要です。これをミスすると重大過失(一撃で不合格)となる落とし穴もあります。私はランプレセプタクルの接地極は右側にすると決めて講習中最初から最後までそのルールでやり通しました。
しかし試験本番ではこの接地極を意識的に確認する事を忘れていました。緊張していた事もあるのかも知れませんが、試験が終わって退場した後で、そういえばランプレセプタクルの接地極に白を接続したかな???・・確認してない・・(不安)
こういう状態でした。
でも、技能講習の時に必ず右側に接地極を置いてそこに白線を接続したから(講習では一度もミスしなかったし)大丈夫だろうと、みょうな開き直りがありました。そこは確認し忘れたけど絶対に大丈夫だという気持ちがありました。繰り返し練習するという事はこういうメリットもあります。
時間配分についても意識した
試験はミスを防ぐために、ペースを上げ過ぎないように注意し、35分で終わらせました。5分の余裕を残せば最終の見返し+手直しが出来るという狙いです。これも意図的な作戦でした。
練習によって自分のペース(実力)がわかっているからペースを落としても余裕で間に合う(ミスを防げる)という自信がありました。ミスをしなければ余裕で合格出来ると言うところまで技能講習で持って行けたのは良かったと思います。
技能試験の要点
第二種電気工事士の実技試験のコツは
「正しい手順で、重要な確認ポイントをきっちりと繰り返し練習する」
これにつきると思います。
いくら練習しても突っ込みどころのある手順を覚えてしまうと無意味です。最初は遅くても、正しい手順を繰り返していれば、正しい手順で徐々に早く出来るようになります。
正しい手順を体に叩き込んでいけば自ずと速度が上がるのです。慣れればそんなに難しいことをやっているわけではありませんからね。全くの初心者でも焦る必要は全くありません。誰でも最初は素人なのですから慣れるまでに少しだけ時間がかかるかも知れないという程度です。
電気工事士の資格受験について
私は受験前に技能講習を受けましたが、第二種電気工事士の試験(筆記、技能ともに)は独学でも可能だと思います。技能試験の課題をクリアする為に正しい手順(確認項目)を解説してくれている書籍は各種出ています。もちろんそれらをしっかり読んで注意すべきところを自分で確認しながら学習する必要はありますが、独学は十分可能だと思います。
しかしハッキリ言って面倒ですし時間もかかります。自分の時間が限られる社会人は専門の人から教えてもらった方が楽で確実です。
受験マニアにもオススメな第二種電気工事士
一方で受験を楽しむ受験マニアの存在もありますね。
教則本をしっかり読んでポイントをしっかり把握出来る人なら独学でも(参考書+電材を買ってきて練習)スキルを身につける事は可能だと思います。資格試験を楽しむ人もこの世にはいるそうなので(以前の職場の同期にいた)そういう人は楽しみながらじっくり取り組むのが正解だと思います。
第二種電気工事士の資格は、そういう受験マニアにも楽しめる&資格取得後に活用出来るお得な資格だと思います。楽しみながらスキルを身につけられるし、資格を得たら使う機会が多いのでお得です。何しろ資格取得後は家の中に沢山のおもちゃがありますからね。今時電気設備の無い建造物なんてまずありません。それらのほとんどが手中に入るのです。
受験時間40分を意識する必要性
もちろん実力を計るためにも時間計測は重要です。本番はどうしてもプレッシャーがかかります。自分のスキルを計る上でも時計計測は有効な方法ですから面倒でも時計を使って測りましょう。そうすれば手際がよくなっている事を実感出来ます。
そういう積み重ねが出来る余裕(時間とか)がある人なら独学で望むのも面白いかも知れません。じっくり反復練習で時短を実現し、本番に臨むのです。
少しでも早く資格を手にしたい社会人にはこういう受験勉強は難しいかも知れませんが、受験(勉強&練習)そのものを楽しみたい人には独学はオススメです。
楽しんで資格を取るか、効率よく確実に資格を取るか
例えば実技試験のポイントを学習する為には、昨年度以前の古い本を中古を安くゲットしてくれば要点を知る上では事足りると思います。もちろん毎年変更される出題候補13課題は違ってくるので内容の読み替えは必要です。
出題候補は事前に公表されるので受験に伴う情報としては不足ありません。お金をかけずにじっくり取り組んで合格を勝ち取るという楽しみ方もありかも知れません。
個人的に思うにはこういう解説本を出版している会社は、何かしらコネがあって試験を出題するところ(組織)から、差し支えない範囲で情報をもらっているんじゃないかと思います。いわゆる「天○り」ってやつですね。おそらく業界は顔見知りばかりだと思います。電気だけに限らず資格ってのはそういうものだと思います。そういうビジネスなのです。
実際、ほとんどの出題予測が、使われる材料までも当たっているわけですからそれなりの情報を得て教則本を作っているんじゃないかと邪推してしまいます。つまり当年度用の教則本を使えばより確実だと言えると思います。
勉強する時間を確保するのが大変だと言う人は、数千円で解決出来るのであれば、教則本は当年度のものが良いに決まっていますし、要点を教えてくれる講習を受講すれば最高に効率が良いと思います。
高知ではまずありませんが、東京や大阪なら学科講習もあるかも知れませんね。
それと歳を食ったから言う訳では無いですが、やっぱり頭が柔軟で妙な既成概念が入り込んでいない学生のうちにこういう資格をゲットしておくのが一番効率が良いと思います。学生のうちは勉強の時間も取りやすいでしょうし、友だちと出題を出し合いながら楽しく勉強することも出来ます。
そして取得した資格は、よほどの事が無い限り終身有効ですから、若い内に取得してその資格とスキルを活用した方がお得です。自宅に電気屋さんを呼ばなくても自分でメンテナンスやちょっとした工事が出来るというのは、満足度が高いですよ。
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