土曜日の夕方、自宅でごちゃごちゃやっていて、つい横着して一階の外にあるガレージへ行くのに、玄関からまわるのが面倒で、窓からぴょんと飛び出したらコンクリートの地面に着地した瞬間鈍い感触が伝わり、次の瞬間歩けないことに気づいた。見る見る腫れてきて一目で「骨折した」と分かった。久しく感じたことの無い激痛である。
激痛で冷や汗を垂らしながら、片足でピョンピョン飛び跳ねながら玄関に周り家の中に居た家内を呼んだ。玄関の段差をあがる事さえ出来ない。座り込んで大丈夫なほうの足でケンケンしながら移動するしかない。タクシーを呼んでもらい病院へ行くことにしたが、痛みが激しくてどこの病院が良いとか、健康保険証とか、考える余裕が無くて家内に任せた。
歩くことが出来ないため、トレッキング用の杖を引っ張り出してきてもらい、それを使いながら片足でケンケンしながらタクシーまで歩き、苦労しながら乗り込む。激痛の範囲がどんどん広がってどこが痛いんだか良く分からなくなってきた。
家内が行き先の病院名を指定し、タクシーを走らせてもらった。病院の受付で事情を話すとなんだかんだ手続きみたいなのをやって時間がかかり、痛くてたまらんのになかなか診て貰えない。ようやく外来待合に移動するように言われ、守衛と思われるおっちゃんが車椅子を持ってきてくれたのでそれで移動する。しかしここからも長かった。
外来は早いもん順だから仕方ないのだが、激痛がどんどん足全体に広まってきて感覚が鈍くなってきた。もちろんちょっと触ると激痛がするのだが、足首
の辺りが異常に腫れてしまい、形が変わっている。足首を骨折したんだなと思っていた。ずいぶん待たされてからちょっとした触診と目視で、レントゲンを撮る
と言い出し、レントゲン室に運ばれた。レントゲン技師と一緒に医師も立ち会っていたのだが、どうやらこの医師は当直医で、整形外科医ではないことになんと
なく気づいた。どうしたらよいか戸惑っているのだ。
色々な角度から撮影するために足の角度を変えてくれと言われ、痛みを堪えながらその指示
に従おうとした。踵を台にそっと置いたところ激痛が響き、思わず「いてぇっ」と声がでてしまった。医師が「え、踵が痛いの?」
と言いそれで初めて踵が痛いことに気づいた。レントゲンは足首を撮影しようとしていたのだが、急遽踵の撮影に変更された。
最近のレントゲン
はすぐに結果が見られるようだ。痛みを堪えながら開いたドアから隣の部屋のディスプレイに映った映像が小さく見えた。医師がレントゲン室に入ってきて「踵
の骨が折れてるよ。これはかなり痛いと思うわ」と言った。あんまり偉そうな先生じゃなかったが、ちょっと頼りなさげだったのは、自分の担当する科と違うか
らだろう。
治療室に運ばれてから添え木をして包帯でグルグル巻きにされた。そしてストレッチャーで横になり、点滴を受けることになった。骨
折のショック症状を防ぐために点滴をするんだそうだ。ただ、横になっているのでハッキリ見えなかったのだが、処置室の女性が私の左手に点滴をの針を取り付
けるのにどうも苦労している感じがす。何度もテープを貼ったり剥がしたりしているのが伝わってくるのだ。ようやく終わった様で、「楽にしていて下さいね」
と言ってどこかに行った隙に左手を見てみた。点滴の針につながる管を固定するために透明の広いシートを貼り付けてあるのだが、その中が血だらけになってい
る。それを見て「やっぱり苦労していたんだな」と悟った。まぁそうやって上達して行くんだから仕方ないわなと自分に言い聞かせおとなしくしていたのだが、
時折襲ってくる激痛で足がブルブル震える。
しばらくそのまま放置されている間に、どうやら家内が問診を受けていた様だ。終わってから部屋に
入ってきて、「どう?」と聞く。どうって言われても「痛いに決まってるじゃん」としか言えない。そのまましばらく待たされてから、ようやく医師が来て「今
日は整形外科医が居ませんから月曜日まで待たないといけませんが、今夜どうします? 入院されるか一度帰宅するか?」というのだ。
今日は土
曜日。月曜日まで専門の医師が来ない。ってことは痛みに耐えながら待つしかないのか?なんで整形外科病院でなく、こんな総合系病院に連れてきたんだよ?と
家内を責めたくなってきた。まぁ仕方ないのだが。
一度帰って月曜日にまた来るのは辛すぎるし、今夜の容態が変化した時に看護士が居てくれた方が安心との意見もあり、入院することになった。入院に際しての
問診や申告事項、注意事項の説明などを済ませて居たら21時近くなってしまった。面会は20時まででとっくに過ぎているのだが、事情が事情だけに許してく
れた。
腹減ったなぁ~。家内も当然晩飯を食っていないし病院の食事はとっくに終わっている。看護士の許可を得て家内に近くで買ってきてもらって食った。足が激痛でも食えるもんだな。結局家内は22時近くに病院を出て帰宅した。食後にいつも飲んでいる自律神経失調症の薬が無い。明日持ってきてくれるということだったので我慢することにした。
点
滴をしているので、強制的に水分を体内に入れることになり、勝手に尿意を催してくる。看護士から渡された「尿瓶」を使って始めての用を足さなくてはならな
い。足は痛くて踏ん張れないし、点滴の管は付いてるしどうすんねん?と思いながら試行錯誤したところ、点滴スタンドの下辺りで足を床に下ろし、片足を付い
てズボンと下着を下げて小便をすることにした。しかし、非日常的なスタイルでは尿が出ない。出そうと思っても体が拒否している感じだ。結局尿瓶を持ったま
ま格闘し5分位経ったところで、少しずつ出てきた。こりゃ寝たきりになったら小便も出来んな...
点滴はずっと続けられている。尿瓶への小
便も慣れてきた。一晩に何度用を足したことだろう。いつの間にか尿瓶が一杯になってきた。そろそろナースコールを押して処分してもらわんと溢れるな(笑)
と思いながら寝ていたら、ナースが来て尿瓶を持って行き空になった尿瓶を戻してきた。どうやら点滴をどれくらい落としたらどれくらいの尿が出るか分かって
いるようだ。しかし妙に思ったのは空になった尿瓶が妙に小便臭い。洗ってくれてないのか..orz しかし痛みがひどくてもうそんなことはどうでも良く
なっていた。
私は痛みには結構耐えられる方で、多少のことでは「痛い痛い」と訴えたりしないのだが、24時を過ぎた辺りで、熱が出てきて
痛みも激しくズキズキするようになった。ちょっとこれは耐えられない痛みだ。恐らくアドレナリンとかの分泌が無くなり、リアルな痛みに変わってきたためだ
と思う。流石にきついので初めてナースコールを押し痛みを耐えられない旨伝えると、「座薬を入れましょう」という回答だった。痛み止めとちゃうんか?それ
に座薬ってことは肛門から薬入れるんだよな..でももうそんな事気にする余力も無くなった。素直に「お願いします..」と頼んだ。
ナースス
テーションに座薬を取りに戻ったナースが、ビニール手袋をして懐中電灯を持ってやってきた。横になって下さいと言われてそれに従う。お尻を出して懐中電灯
で肛門の部分を見られている。げげげー恥ずかしいな。と思っていたが、力を抜くように言われてそうしたら、すかさずグイッと座薬を押し込まれた。慣れてい
るのか一瞬の事だったのでなんか良く分からなかった。とうとうケツの穴まで見られてしまったか。
座薬はそれほど効かなかったが、ぎりぎり我慢できる位の痛みだったので、その後は尿瓶を使っては片付けの繰り返しで朝を迎えた。自律神経が暴走しかけだったのでピリピリして眠れるはずが無かったのだ。
この日記は入院中のメモを元に後から書き起こしたものです。
2007/08/28


コメント