骨折入院で現実の悪夢を見た一夜

手術を終えた6/26の夜勤であるナースと、悪夢のような時間を明朝まで過ごす事になったと悟ったのはかなり夜が更けてからだった。

麻酔で身体が不自由ながら携帯電話のテキストメモに苦労しながら記録したものを赤外線で転送して、細部を補足して日記にしたててみた。当日の事はよーく覚えているので勢いに任せて一気に文章にしたから、変な所も多いが雰囲気重視なので大目に見て頂きたい。

ちなみに嘘偽り無く、これはノンフィクションである。本当に悪魔のナースか、本当は白衣の天使かは別として。

16時
病室に戻ってきた。手術前の腰椎麻酔はチクッと痛かったが、それよりも点滴に混ぜた麻酔が痛かった。そしたらいつの間にか眠っていた。

今病室で横になっている。寒気と震えが酷く震えが止まらない。麻酔後は体温が下がるのだと説明を受けた。電気毛布してくれているしレベルは最強。それでも寒くて震える。体温が何度になっているのか知りたい位だが、実行に移す気力があまり起きない。

腰痛っぽい痛みがする。腰椎麻酔をした部分が痛いのか、それとも腰痛なのか分からないが、とにかく痛い。病室に戻ってきてから1時間経ったが下半身の感覚まだ戻らない。チンチン付近感覚なし。っていうかチンチンをつまんでみるとブニョブニョして気持ち悪い。自分の身体を触っている感触では無い。

股を打った時のような痛みがする。下腹部がズキズキする。この痛みはナースには分からんやろうな。もう少し我慢するか。

18時
過ぎても感覚戻らず。下腹部の腹痛は腸にガスが貯まっているせいだと思うが根拠は無い。たださっき少しだけガスが移動した感触があり、内臓がギュルルと動いた。その時に痛みの場所も動いた気がするのだ。ナースに再三言ってるが、様子見しましょうとの事。おいおいふざけんな。

病室内は夕食だ。腹へった。左足先の感覚が戻りつつある。右足はまだ感覚が無い。

19時半
友達が来てくれた。笑い話とかしていたが、術後ということもあって早めに皆引き上げていった。まだガスがでない。下腹部がマジに苦しい。なんとかしてくれ。

ナースを呼ぶ。ガスがたまってんじゃないかな?さっきお腹がグルグルって言ったんだけど、と告げると「じゃあ浣腸しましょう」との事。もうこの際浣腸だろうがお願いしますよ。マジに死にそう。んで言われたのが「5分は我慢して下さいね」って。我慢出来るなら我慢するけど。「その前にお尻の感覚全く戻ってないんだけど、我慢って出来るんかな?肛門に力を入れても動いている感触無いんだけど? 」と言うと、左足太ももを触り「これ分かります?」と言う。触られているのは分かると言うと、「××筋の感覚が戻っているので大丈夫ですよ」との事。言われるがままに横向いてお尻を出した。付き添っていたカミさんはカーテンの外に出された。

「浣腸しますね」と言ったと思うが、全くお尻の感覚が無い。ナースが「あ!」と言った。何が起こった?全く感覚がないんだけど。「全部出ちゃいましたね」って全く下腹部の痛み取れないんだけど。「もうしばらく我慢してて下さいね。出そうになったらナースコール押して。」と言ってステーションに戻ってしまった。背中に妙な湿っぽい感触が伝わってくる。何だこの湿り気は?動きにくい身体で下を見てみたら、紙おむつが敷いてある。それが手術着に染みこんで背中に湿っぽい感触となって伝わってきているのだ。手術着はびっしょり濡れている。どうやら浣腸液をこぼしやがったみたいだ。

待てどもガスは出ない。腹痛も限界を越えた。下腹部を押してみるとめっちゃ腹筋がパンパンに硬直している。いや、腹筋じゃないかも知れない。こんなところに腹筋は無いハズだ。もしかしたら死ぬかも知れん。またナースコールを押したら悪魔のナースが来やがった。ガスも出ないし腹痛も酷くなるし、下腹部がガチガチになってるしもう我慢限界やからなんとかして欲しいと訴える。「内臓が破裂するなんて事はないよね?」と質問したら「そんな事はないです大丈夫」と言って、ちょっと待ってねとまた戻っていった。

20時過
ナースが当直の医師を呼んでくれた。ようやく医者が来てくれたのだ。なんとか命は助かった。下腹部が痛いし張っている旨伝える。触診にて直ぐに帰ってきた言葉は、「膀胱がパンパンに張っているね」とのこと。小便が溜まって膀胱がパンパンに張りそれが下腹部の痛みだったと判明した。そりゃそうだ、考えてみたら15時前から点滴を落としながら手術を受け、病室に戻ってからも点滴追加しとるやんけ。いっこも尿意が催さないから一滴も出してないわ!

医師が悪魔のナースになんとか言う管を持ってくるように指示。まず細い管を尿道に通す。管には潤滑用のジェルを塗りながら挿入するので、嫌な感触はするが痛みはほとんど無い。どうやら尿を出したりする筋肉の感触は戻ってきたようだ。しかし管を通して溲瓶で受けようとしたが肝心の尿が出ない為、もうちょっと太い管を持ってくるように指示している。なんちゃらバッグとか言うのを持ってこさせて接続されると尿がチョロチョロと出始めた。このまま明日まで付けたままにしとこうと言って医師は引き上げていった。

少し経ってから悪魔のナースが巡回に来た。バルーン(小便を貯めるバッグ)を見て「丁度1リットルだね。いっぱい溜まってたんだね♪」と嬉しそうに言った。この瞬間「こいつワザとやってたんとちゃうやろな?」とピピッときた。浣腸と言い、浣腸液こぼしと言い、そう言えば聴診器を下腹部に当てたりして聴診もしてたよな看護士が膀胱の張りを見分けられんハズないで..俺今夜殺されるかも..orz

20時半
ガスが出た。というよりも麻酔が切れて内臓が活動を再開したのではないかと思う。

23時
チンチンに入れられた管が尿道を擦れてしまい、動くと痛くて堪らないから、押さえたまま堪えてる。痛いからかめちゃくちゃチンチンが小さくなっている。かつて見たこと無い位小さい。長さ二センチくらいってありえないでしょ?術をした方の足に震えが出初めた。ブルブル震える。

23時15分
アキレス腱辺りに痛みがはっきり感じられ始めた。踵に打ち込まれた金属棒の感触がなんとなく分かる。想像するとえずい。

01時10分
足全体が腫れたらしく、ギブスがキツイ。ナースコールしたら別のナースが来た。めっちゃ横柄な態度のナース。スタスタとステーションに戻ったと思いきや、クッションを持ってきてどさっと置き、ギブスの足を持ち上げ高くして帰っていった。たったこれだけかい?

バルーンの管を行ったり来たりする尿の感触が嫌で堪らない。残尿感が絶えずあり、せっかく出て行ったと思った尿が管を行ったり来たりするのだ。チンチンから出て行く感触は良いとしても、戻ってくる感触は普通あり得んやろ。悪魔のナースに外してくれと頼むが、また出なくなったら先生を呼ばなくてはならなくて困るからと、朝一番で先生を呼んでドレンを外してくれる約束をした。ホンマに朝一で外してくれるんやろな。


自律神経失調症の症状がもろに出始めた。変なことをマイナス思考で考え出した。

今日の事は、悪魔のナースが全て仕組んだシナリオで、俺はそれにはめられたんだ。だいたい、看護士が膀胱の張りを見つけられない訳がない。俺に最大限の苦痛を味わわせる狙いに違いない。そしてもう限界と言う時に医者を呼んできてバルーンの管を通さしたんだ。

そう言えば浣腸をするって言い出した時に、うちのかみさんは横におったよな。浣腸する時は外に出されたけど、浣腸液をベッドのマットがびっしょりになるまでこぼすなんてあり得んやろ。あの時肛門から浣腸液を入れられた感触は全くなかった。ベッドがびっしょり濡れたのはわざとや。それに気づくハズやのに。それに家に帰って自律神経失調症の薬を持ってきてくれるって言ったのに忘れてやがった。そうやかみさんもグルやったんやな。

そう言えば、友達が来た時に下腹部が痛いって俺言ったのに、バルーン管入れられたこと有るって奴はその可能性について何も教えてくれなかったな。だから勝手にガスが溜まってるんじゃないかって思ったんだし、友達までグルになってたんか!そう考えたら病室の患者も全員グルちゃうか?俺が苦しんでいるのを聞いてほくそ笑んでるに決まってる。


でも待てよ?俺のおかんは田舎におるけど、絶対に俺の敵では無いよな。全員が敵でもおかんだけは俺の見方をしてくれるハズや。何かあったら絶対に駆けつけてくれるハズや。それにお義母さん(かみさんの母)も俺の味方だよな。いつも良くしてくれる、しかみさんの悪口言ってもそうそうって一緒に頷いてくれるし。でもそう考えたらその子供であるかみさんは俺の敵って事は無いよな?って事は友達も敵じゃないって事か?でなきゃわざわざ見舞いに来て気を利かせて早く帰ったりしないよな。悪魔のナースだって、実は経験値が足りなくて俺の容態の悪化に対処するのが遅れたのかも。


などと考えていたら、スーッと気が楽になって マイナス思考が収まった。と言うよりマイナス思考をプラス思考に変換する方法=頭の中で敵を作らない=味方を作る事に気づいた。現実世界はどうかとしても、頭の中でなら何とでもコントロール出来てしまうわけだ。実際マイナス思考だと自分が辛いだけだし。どうせならプラス思考に持って行って、楽になった方が幸せジャン。

思わぬ収穫であったが、現実はまだ苦悩が続いていた。

  • ベッドが濡れている
    浣腸液をこぼされているので体温で暖めても乾かない。
    悪魔のナースが紙おむつを敷いていったが全然吸収しない。
  • 手術着がぐっしょり浣腸液を吸い込んでいるので気持ち悪い
  • 浣腸液が手に着いているからとベタベタする
    身動き取れないからベッドに手をつくから絶対に手に付着する
    それでベッドの手すりを握ったりしているから汚い。携帯電話も...最悪や
  • バルーン管が尿道を擦れて痛い
    なるだけ動かない様にしているが、ちょっとの事で痛い
    しかもチンチンは体温調節で伸び縮みするからその度に尿道が擦れる
  • バルーン管を行ったり来たりする尿がうざい
    残尿感と戻る尿の感触は最悪や。これは拷問器具にもなるやろ
    (医療器具って殆どが拷問の器具になりうるな。SMの世界やわ。)
  • 浣腸液を少し入れられたのは本当らしい
    だからお腹がグルグルするが、おまるに出そうとしても体勢が悪くて出ない
    いつまで経っても出そうで出なくてでも出そう

とりあえず出来る事をやろうと決めた。

手術着は点滴の管が通っていても脱ぐことが出来る。だからシャツを着替えてしまおう。着替えても点滴をしている方の腕は通せないから、片方だけは通さずにいるしかないな。

濡らされたベッドからの逆流を防ぐ為には、紙おむつを逆にすべきではないか?なぜならいくら上から重しをかけても吸い込まないって事は無理だという事だ。しかもその方向だと暖めて気化したした水蒸気がおむつの通気穴を通って衣服に吸収されるから、いつまで経っても乾かない。これは悪魔の看護婦が仕掛けた巧妙なトリックに違いない。

手に着いた浣腸液は、ウエットティッシュで丁寧に拭いてしまって、余計なところに触れないように気を付けよう。そうすればベタベタは多少マシになる。明日シーツを交換してもらい、洗面に手を洗いに行く迄の我慢だ。

バルーン管については結構な長さを入れられているし、膀胱ってばい菌が入ったらやばそうだから、勝手に抜くのはマズイよな。明日朝一で医者に来て貰えるようにしつこく念押しするしかない。

浣腸液でガスが出る度に出そうな感触は耐えるしかない。とりあえず出てこない姿勢で横になっていれば出ないだろうから、明日点滴が外れてからトイレに駆け込もう。

こんな計画を練ってみたら少し気が楽になった。どうだ悪魔のナースめ。俺はお前には負けないぞ。絶対に明日の朝まで耐えてみせる。こんな事を考えながら時計を見ても10分が本当に長くて、とても後6時間なんて耐えられるもんじゃないな。ふぅ~眠れたら少しは楽なのに(薬を飲んでないから神経がピリピリして眠れない)。

しかし、朝が来なかった日は歴史上一度も無い訳で、朝7時になるといつもの通りナースが病室を巡回始めたりバイタルをとったりし始めた。もう一息の我慢や。8時になったら朝食や。これを食って9時頃には先生が来てバルーンを外してくれて、点滴もとりあえず終わるから身動きが取れるようになる。

ところが9時になったら、日勤のナースが抗生物質の点滴をもって現れた。ウソ!点滴終わりちゃうのん?でも30分あれば落ちるからもう少しの我慢で済むという。ついでにバルーン管の取り外しについても、朝一でドクターが来てくれる約束になっとるんだがと言うと「バルーンは私達で外せるのでドクターは来ないですよ」と言う。ウソやろ!あいつ(悪魔のナース)は、バルーンはドクターが外す=ナースでは外せないというニュアンスで言ったハズ。てめぇ、自分で外せるんじゃねえかよ!マジに怒りがこみ上げてきたが、半分はどうでも良くなった。とにかく外してくれ~

9時半には点滴も終わった。そしてバルーンもナースが外してくれるという。え?密かに可愛いなぁと思っていたナースが外すって。管が擦れて痛くて、かつて見たこと無い位小さく縮んでいるチンチン見られるの(汗 それって洒落にならんわぁと思う反面、もう悪魔のナースにも肛門も見られてるし、今更可愛いナースだからってチンチン見られても関係ないわいと開き直りの気持ちが出た。パンツを自分で降ろして「早く外して」と頼むと

「ちょっと痛いからね!」

と言ったと思いきや、表情を変えずに管を引っこ抜きやがった。この痛みと感触は表現しづらいのだが、膀胱から尿道を通じて何かをズルズルと引き出される感じで、身体が勝手にブルブル身震いする感触。加えて尿道とシリコンチューブの摩擦(ジェルはもう無くなっているから摩擦する)でチンチンに激痛が走る。この女可愛い顔してサディストやな。マジにナース恐怖症になった..orz

とにかく点滴、バルーンと外れたら解き放たれたような気分だ。車椅子をゲットしトイレに走らせる。グルグルいっているお腹から全部出してやる、出してやる!便は出なかったが恐らく直腸に残っていた浣腸液を出すことに成功したらしく、グルグルはぴたっと止まった。ついでに小便もしてやる。ところが痛い!激痛じゃ。尿道が炎症を起こしているらしく激痛が走る。小便するたびに痛むんか?何時になったら治るんやろ?痛みはともかく残尿感は払拭できた。小便が自分の意志で出せるって幸せ。本当に生き返った気分だ。

その足で洗剤付けて手洗い手洗い。顔も洗っちゃうぞ。歯磨きセットも持ってきて歯磨きだ。車椅子で行ったり来たりしながら、一晩中出来なかったことを次々済ませていく。これは快感だ!っていうか、当たり前の事が出来ないのは、苦痛だという事を初めて知った。五体満足って事はそれをもし失ったら苦痛になるんだな。当たり前の事を有り難いと思わなくてはいけないと改めて思った。

どんどん身の回りを綺麗にしていくことに成功したが、ベッドだけは病院のスタッフの力を借りないとどうしようもない。途方に暮れていたら、帰ったと思っていた悪魔のナースがひょっこり現れた。「バルーンも外れたし良かったね」と寂しそうな顔で言う。コイツも絶対にサディストや!間違いない。

「ベッドのシーツがベタベタやろ、これ交換してくれへんやろか」と言うと、

「どうして?直ぐに乾くよ」

「だって浣腸液やろ、このままだと不潔なんちゃう?」

「ううん、大丈夫だよ」

おいおい、どいう基準で大丈夫なんだよ?病室の掃除(消毒)とかこまめにやってる癖に、こういう所は適当かいな?大体ここ相部屋なんだから他の患者にも迷惑なんじゃないか?

悪魔のナースに言っても無駄だと悟ったのでもうそれ以上は言うのをやめた。こうなったら他の人に頼もう。待っていたらベッドメイクなんかをよくやってくれている看護助士ってのかな?(ナースエイドと言われているらしい)のおばちゃんが来た。この人はきれい好きで親切だと数日前から感じていたので、事情を説明したらもちろん交換してくれるって言った。ただ、マットを切らしていてお昼過ぎにならないと届かないってので、それまではバスタオルを敷いて我慢して下さいって。そうだよバスタオルがあったんじゃんか!あいつ(悪魔のナース)間に合わせで紙おむつなんか敷いてごまかしやがって。

もちろんマットが届いてからシーツ交換して頂きました。サラサラのベッドシーツはめっちゃ気持ちいいな。ナースエイドのおばちゃんに、ありがとうって心からお礼を言いたい。

痛み止め(ロキソニン)が毎食後で処方されたので、手術後の痛みは殆ど感じ無くなった。ギブスの中に入っちゃってるから傷口は見えないし。もっとも、ギブスから飛び出した踵の部分は取り扱い注意で気になるけどね。踵をぶつけたりしたらそのまま骨に衝撃が走るからね。

悪夢を見た一日が過ぎたら、嘘のように快適な入院生活が待っていた。
もっとも、後に暇で退屈でやってられなくなるんだけどね。


この日記は入院中のメモを元に後から書き起こしたものです。
2007/08/28

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