意外と活用されていないマルチユーザー機能
私は複数台のパソコンを所有していて用途で使い分けているのですが、パソコン上でデスクトップOS(Windows他)を使用している人でも、複数台のPCを所有している人は少数派だと思います。圧倒的なシェアを持つWindowsでもマルチユーザー機能は標準装備ですが、私の周辺では実際にマルチユーザー機能を活用している人を見るのは珍しいです。
具体的な使用例としては、
- 仕事用のユーザー
- プライベート用(Webブラウジングなど)のユーザー
- 動画編集用のユーザー
- プログラミング環境用のユーザー
こんな感じで使い分けると、環境がごちゃごちゃしなくて快適なのですが、ユーザー(プロファイル)を切り替えるのが手間なのか?そういう使い方を思いつかないのか?同じユーザーでゴッチャゴチャになって使い続けている人をみます。
とても勿体ない使い方なので、複数ユーザーを切り替えて使用するという概念的なことを紹介できたらと思って記事に記します。
私はLinux Mint Debian Edtionを使っている
マルチユーザーの概念はUNIXが元となっているLinux系のOSにも当然採用されています。ユーザー(プロファイル)を切り替えることで環境をシンプルに保つことが出来るのでトラブルにも遭遇しにくくなりますし、もしトラブルが発生した場合でも破損したユーザープロファイルを諦めることで他ユーザー環境には影響が無かったりします。
近頃のデスクトップOSの概念はマルチユーザー対応なので、WindowsやMacでも同様ですしLinuxも同様です。Windowsに比べるとLinuxの方がディレクトリ単位で管理されるので見通しが良いです。Windowsのプロファイルはちょっとややこしい面があります。
Linux Mintの場合はウェルカムスクリーンからがオススメ
Windowsの情報は星の数ほどあると思うので、LMDE6(Linux Mintも同様)での設定手順を紹介しておきます。Linux Mint系はウェルカムスクリーン「ようここそ」からアプローチするとわかりやすいです。

「始めましょう!」をクリックすると、はじめにのメニューが表示されます。既に初期設定は終わっているのでここで使うのは「システムの設定」です。ここは使っている内に色々調整したくなったらアプローチすることになるでしょう。

システムの設定からは細かい項目が選べるようになります。「ユーザーとグループ」という選択肢があるので実行します。複数ユーザーを切り替えて別の環境に切り替える方法として有効です。

初期ユーザー
LMDE6をインストールした時に最初に作ったユーザーです。全ての権限を持っている特権ユーザーなので所属グループが沢山あります。これを参考にすれば追加ユーザーも同様の権限をもたせられることが出来ますし、任意に絞った権限しか与えないことも出来ます。

追加ユーザー
「追加」ボタンをクリックして追加ユーザーを任意に増やせます。
「アカウントの種類」で「一般ユーザー」にしておけば、子供用にしたりすることも容易です。この辺りの概念もWindowsやMacと類似しています。
私は追加ユーザーでも管理者権限が欲しいので「管理者」にしています。
注目したいのは、「グループ」の項目です。所属グループは必要に応じてグループタブから変更も出来るので、sudoコマンドを使いたければsudoグループを割り当てておく必要があります。後は任意にどうぞ。
- sudo
- users

一般的にLinuxのユーザー管理で必要なコマンド操作だと「usermod」や「visudo」などの知識が必要ですが、Linux Mintの場合は深く考えなくともコマンド操作が必須では無いので難しくありません。

具体的なやりかたとしては、グループのところをクリックします(わかりにくいですがマウスオーバーするとクリック出来ることが分かります)。ちょっとUIデザイン的に分かりにくいですが、所属グループの変更もコマンドレス(マウス操作)で出来るという事が分かって貰えると思います。この手軽さも個人的にLinux Mintを推している理由の一つです。
それぞれのユーザー(プロファイル)で使いやすい環境整備
一旦ログアウトするか、「ユーザーを切り替え」としてから、追加したユーザーでログインすると新規のユーザー環境が用意されています。それぞれのユーザー(プロファイル)に用途に応じた環境をセットアップして行くことで、1台のPCを用途別に切り替えて使用できます。
用途としての実例をあげれば、例えばメインユーザー(インストール時に登録したユーザー)では、個人情報やネットショッピングで使用したクレジットカード決済情報などが記憶されているかも知れません。外に持ち出した時にはこういう情報はなるだけ人目に晒したくないと考える人も多いでしょう。
後から任意に追加した別ユーザーは、人目にさらしても大丈夫なユーザーとして使い分ければ、自宅から持ち出して使用する場合でも安心です。
例えば勉強会などでプロジェクターを接続して画面を映す場合などは、別ユーザー(プロファイル)に切り替えて発表する様にすれば、プライベートな情報を人目に晒してしまうリスクも防止できます。

個人的には、人目に晒しても大丈夫な様にシンプルなデスクトップ環境に維持しておくように意識しています。常用する訳ではないので余りカスタマイズしない様にしています。Linux MintでもWindowsと同様にPC起動中にユーザーを切り替えて行ったり来たりすることが可能です。

ある程度使ったユーザープロファイルはユーザー削除して
新たにプロファイルを作り直すことも出来ます。
使い捨てユーザー環境として使ってもリフレッシュ出来て便利です。
Webブラウザーのプロファイル同期も活用
OSの概念的にマルチユーザーで切り替えて使用できることが出来ることは記しましたが、これにWebブラウザーのプロファイル切り替えも併用すると非常に便利です。というのも現行バージョンのWebブラウザーのほとんどにはプロファイル同期機能が実装されています。
Google ChromeではGoogleアカウントに連動して、EdgeではMicrosoftアカウントに連動して同期します。私が愛用しているFirefoxにもMozilla Firefox Syncというプロファイル同期機能があります。
メールアドレスが複数必要になりますが、Webブラウザーのプロファイルも意識的に切り替えて使用することで、異なる目的に最適化された環境で使用することが出来ます。
もしくは逆に意識的にWebブラウザーのプロファイル機能を使用せずに、PCローカルのプロファイルで済ませるというのも一案です。特に人目に晒す機会があるユーザー環境はシンプルにしておくことが好ましいので、ローカルプロファイルでも十分に思えます。
最後に
この様に、OSにもマルチユーザーの概念があり、用途によって切り替えて使用するメリットがあることを記しました。普段使用する環境は使っている内にかなり込み入った状態になりがちですが、人目に晒す機会のあるユーザー環境はシンプルにしておくことができます。
意識的に切り替えて使用することによって、個人情報を表示させて恥ずかしい思いをすることも防げます。(プライベートの写真をプロジェクターで映してしまうとか・・)
Linux Mintはコマンドレスで簡単にユーザーを増やせるし、所属グループも変更出来るのでアクセス権限の修正も簡単です。マルチユーザー機能は積極的に活用したい機能の一つです。(Windows環境でも活用している人は少ないみたいですが・・)
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