2025年8月9日 debian GNU Linux 13 Trixieリリース
2025年8月9日に最新のdebian GNU Linux(debian 13 Trixie)がリリースされました。
当日は時差の関係もあってか、debianのサイトにdebian13が配置されてない状態でしたが、翌日になって公式なISOファイルも配置されるようになりました。たまたま今回のリリースは連休中だったので、debian13を試してみることにしました。

楽しみにしていたdebian13(Trixie)
リリース日の翌日にはISOファイルが入手可能でした。
私の場合はLet’s noteを複数台所有していて、古いCF-SZ5にdebian12をインストールして使っていましたので、とりあえずブータブルUSBを作り、このPC環境を使ってLIVE版で試してみることにします。ブータブルUSBはWindows環境のVentoyで作ったUSBメモリーにISOファイルを入れるだけで使用できるので便利です。Ventoyは本当にオススメ。
debian 13 xfce Live版を入手する
debianは世界中にミラーサーバーがあるのであちこちで入手できますが、まだリリース直後ということもあって本家でISOファイルを落としてきました。リリース直後なのでJIGDOを使うのが理想ですが、使い方を忘れたので申し訳なく思いながら直接ISOを落としてきました。
VentoyはWindowsアプリなのでWindows環境のVentoyで作成したブータブルUSBを使用します。ISOファイルを直接コピーしておくだけで準備OKです。
Ventoyが起動するとブートセレクタを挟んで、ブートしたいOSを選択して起動できるのでとても便利です。私は32GBのUSBメモリーを使用して5個以上のOSをBoot出来るようにしています。(ISOファイルの入れ替えはLinuxのファイルマネージャでも可能なので定期的に入れ替えてます。)


Ventoyは複数のOSのISOファイルを起動できます。
USBメモリーは容量大きめを使うと便利です。
debianのLive版を入手するのは、まずLive起動して簡単な動作確認が出来る点がメリットだと感じているからです。更にストレージへのインストールも簡単ですから合理的です。debianのインストーラで気が利いているのは、例えばLive版で入力して試したWi-Fi接続の情報がインストールにも反映されるのが良いです。他のディストリビューションではここまで気を配っているのは少ないのでストレージにインストールするとまたWi-Fi情報を入力しなくてはならないので手間がかかります。
debian13はサクッと起動して普通に使える
相変わらずLet’s note CF-SZ5とは相性が良いみたいで、特に問題も見つからずLive版で動作検証できました。見た目も同じxfceなので変化が無いようなので、これがdebian13だという意識はあまりする必要がありません。内部は紛れもなく最新版のdebian13で動いている訳ですけどね。
逆に言えば、取り立てて変化に気づきにくいので「地味」だということです。debianに限って言えば、画期的に進化したとかルック&フィールが変化した(進化した)という印象は受けません。そこがdebianの安定志向であり個人的に気に入っている点です。普通に安定したOSとして動いてくれればそれで良いのです。OSとはそんな位置づけ(縁の下の力持ち)に徹してくれるものでしょう?(私の価値観ではそう思っています)


良くも悪くもdebianらしく実用性重視の安定志向です。
面白みには欠けるかも知れませんが使い慣れたxfceが好みです。
多少の変化もある様です。例えば今回neofetchが無くなっていて、フォークしたneowofetchというパッケージが採用されていました。この辺りは追いかけてないので適宜対応を変える必要がありますが些細な違いです。neofetchはそれほど使う機会もないのですが、システム情報を確認するのに手っ取り早いのでneowofetchをインストールしました。
良い感じなのでdebian12を消してdebian13をインストール
全然違和感なく使用できるので、あまりカスタマイズしていないCF-SZ5のdebian12環境をすっぱりと消して最新のdebian13にすることにしました。クリーンインストールしたいので保存したファイル等はUSBメモリーに移動して保存しておきます。
そしてVentoyで作ったLive版debian13を起動して、SSDにインストールしてしまいます。インストール先は当然内蔵SSD全域を使うので既存OSは削除してインストールです。
あっけなくインストール終了で普通に使い始めることが出来ました。Live版でWi-Fiに接続した情報もインストール環境に保存されたのでいちいちWi-Fi接続をやり直す手間も発生しませんでした。
Bluetoothトラックボールも問題なく使用できます。ネットワーク関係も問題なしです。なんとなく感じているのは、Let’s note SZはdebianと相性が良いみたいに思います。ハイバーネートなんかも問題が起きずバッテリー駆動でも長時間使用できてモバイル環境でも重宝しています。
日本語入力環境の整備は必要
debianが初心者向けでないディストリビューションだと言われる理由の一つとして、日本語入力環境を整える手間があるのは正しい情報だと思います。IM環境をインストールしてやる必要があります。世界的に見れば2バイト文字圏が特殊なので日本語入力環境は自分で整える必要があります。
Linux Mintはこの辺りをウェルカムスクリーンや、設定からウィザード的にマウスクリックで行えるのが初心者向けです。debianはとてもシンプルなのでその辺りは自分で解決するしか有りません。それは13になっても一貫して同じスタンスのようです。
マルチユーザー機能を活用する
私の場合は、同一PC(debian)上でユーザーを切り替えて、デスクトップ環境を使い分けることが多いので、マルチユーザー環境は便利です。debian13にはGUIのユーザーとグループ管理のアプリが入ってないのでSynapticパッケージマネージャからインストールします。

これでユーザーとグループ管理がGUIで出来るようになりました。コマンド操作でも師匠はないのですが、使っている内に修正したりすることがあるので、視覚的に見やすいGUIの管理ツールがあると便利です。

ユーザーの追加や削除、所属させるグループをGUIで設定出来るので便利だと思います。あんまりGUIに頼っているとコマンド操作を忘れてしまいますが(たまにはコマンドで操作しないとね)、やっぱり利便性を重視して使いたいものです。どんどんそういう流れになって行ってLinuxだからコマンドが必要っていう場面は少なくなるでしょう。
ホイールパッドはLMDE6での設定と、xfceの設定の合わせ技が必要
普段はBluetooth接続のトラックボールを使っているので気にしてなかったのですが、debian13入りのCF-SZ5を持ち出す時に荷物を減らしたいので本体のみ(ホイールパッドのみ)で運用したいと思ってテストをしたところ、ホイールパッドによるスクロールはOKです。
しかし、シングルタップ、ダブルタップ共に反応しませんでした。これではちょっと使いづらいです。マウスは持ち歩きたくない(ACアダプタすらも携行したくない)
debian系でホイールパッドを使用するのは、LMDE6(Cinnamon)でも同じだと思っていたのですが、調べたところタップ時の動作はxfce側の設定が必要だと知ることが出来ました。
下記ファイル(xinitrc)の作成が必要という貴重な情報がありました。
~/.config/xfce4/xinitrc
#!/bin/sh
if [ -z "${DISPLAY}" ]; then
prog=xinit
else
prog=/bin/sh
fi
# Enable tap actions on a touchpad.
if ( grep -q synaptics /var/log/Xorg.0.log ); then
if [ -x /usr/bin/synclient ]; then
/usr/bin/synclient TapButton1=1 LBCornerButton=2 RBCornerButton=3 MaxTapTime=140 \
SingleTapTimeout=140 MaxDoubleTapTime=140 VertEdgeScroll=1
fi
fi
exec ${prog} /etc/xdg/xfce4/xinitrc $*
Code language: PHP (php)
その他の環境設定は追々
今回はリリース翌日に使用開始したので、トラブルさえなければ同じ環境を長期間使用し続けられます。2年ちょっと丸々使い続けられるのでありがたいです。
Let’s note特有のホイールパッドのカスタマイズや、Flatpakを使えるようにしたりと細かな環境整備は必要ですが(大した手間ではありません)、これは使いながらちょっとずつ整備して行こうと思います。過去記事に残してあるので(いちいち覚えてません)それらを読み返しながら設定する次第です。

大きなトラブルさえなければ、2年ちょっとこのまま使い続けられます。基本的な部分は早速カスタマイズして、後は必要になった時に対応して使いやすい環境に調整して使っていきます。
結局、こういうことの繰り返しですから、パソコンのOSというものは理想としては永続的に使用し続けたいものです。debianはシンプルに構成することが出来るのでWindowsの様に訳のわからないプロセスが勝手に走り出して冷却ファンがブンブン回りだすこともありません。
トラブルがない限りは慣れた環境を使い続けられるのが本当にストレスを感じません。(逆に新鮮さはありませんけどね)やっぱりOSは安定性と信頼性、裏方に徹してくれる見通しの良さが一番の性能だと思います。
消費電力が少ないのでバッテリーの持ちも良い
早速、外部で行われる講習会に持っていきました。Panasonic Let’s note CF-SZ5に最新のdebian 13 Trixieをインストールした状態でどこまで使えるか?という実験を兼ねたものでしたが全然問題ありませんでした。
ACアダプターも交換バッテリーも持たずに行きましたが3時間半の講習会は1本のバッテリーのみで余裕でした。若干バッテリーを温存する気遣いでトイレに行く時などはハイナネートさせたりしましたが。
やはりCPUが第6世代のCore i5-6300Uというスペックなので消費電力も少ないですし、最新のdebianということで電源管理も無駄を抑えてくれるので、CPUファンがブンブン回ることもありませんでした。CPUに負荷がかかるとFANがヒューンと鳴り始めますが直ぐに収まりますので使っていてバッテリーの持ちは良さそう(十分持ちそう)だと感じていました。
CF-SZ5はWindowsで使用するにはスペック不足ですが、軽量で優秀なdebian GNU/Linuxであれば現役で通用すると再認識しました。安定性の高いdebianですからTrixieにはこれからお世話になろうと思います。
Let’s note CF-SZ5、SZ6、SV7、SV8、SV1を所有していますが、本体のサイズはほぼ同じなのでSVシリーズが入るケースならSZ5、SZ6も入ります。
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