マルチブータブルなUSBメモリーを作成できるVentoyが便利だ〜Rufusとは違う方向性で開発されるユーティリティ

Linux

Ventoyについて

おそらく、WindowsユーザーでLinuxをちょっと試してみたり、Linuxに移行したりした人はRufusというユーティリティを知っていると思います。RufusはLinuxの始め方を解説するサイトやYouTube動画でもよく紹介されているので、知名度はRufusが高いと思います。

しかし、私はRufusはWindows寄りの(トラブル対応用USBメモリー作成)用途に使っていて、Linux環境をBoootする為には、好んでVentoyを使用しています。

Ventoyは、簡単に言えばUSBメモリーをBootable仕様に初期化するアプリです。

Ventoyで初期化したUSBメモリーに、複数のLinux ISOファイルを入れて置くことで、PCをUSB Bootした後にブートセレクターを介して任意のLinux OSを起動することができます。(補足:WindowsのISOファイルを入れておけばWindowsも起動できます。)

Ventoyによるマルチブート可能なUSBを利用している写真
Ventoyで作成したUSBメモリーに複数のOSのISOファイルを入れているので選択起動できる

つまり、USBメモリーの容量が大きければ、色々なLinux ISOファイルを入れておいて、ブートセレクターで選択して必要なLinuxディストリビューションを起動できます。私は「GParted」なんかもISOファイルとしてVentoyで作ったUSBメモリーに入れているので、パーティション操作(トラブル対応など)が必要な場面でも重宝しています。

またVentoyは、Windows、Linux環境で起動することができます。もしくはVentoy自体をBootすることができるので、OSがインストールされていないPCや、Intel MacならMacでも起動することができるんじゃないかと思います。(Macの事は良くわからないので確証は有りませんが・・)

Ventoyを使う上でのポイントは、大容量のUSBメモリーを使うことで物理的に1本のUSBメモリーで事足りる点です。Rufusの様に1つのOSを起動するために1つのUSBメモリーを占有するという無駄がありません。Rufusしか知らない人の場合は、気がついたら8GBのUSBメモリーを何本も所有している・・と言うことも多々有るようです。

Ventoyの「基本的な」使い方は簡単

基本的な使いかたは簡単です。

空っぽのUSBメモリー、または消しても良いUSBメモリーをPCに接続した状態でVentoyを起動します。もしUSBメモリーを後から接続した場合は、デバイス欄の右側にある回転矢印アイコンをクリックすると再検出してくれます。ここはとても重要ですが、消しても良いUSBメモリーを確実に選択します。

Ventoy2DiskのLinux版を起動した状態。デバイスとしてVentoyで作成した32GbのUSBメモリーが認識されている。

キャプチャ画像からわかるように、Ventoyのインストール、アップデートが行なえます。初回はインストールになりますが、一度Ventoyで作成したUSBメモリーは、既にUSBメモリーに配置されているVentoyをアップデートすることもできます。着実にアップデートされているのでバージョンアップに追従していく意味はあります。

あとは、お好みのLinuxディストリビューションや、WindowsのISOファイルを入手してきて、USBメモリーにコピーしてやることで、ブータブル可能なUSBメモリーが出来上がります。

Ventoyをより活用したい人向け情報

VentoyはUSBメモリーからマルチブートできるという点だけでも十分に恩恵のあるアプリですが、更に使いこなすことが出来れば便利な機能が隠されています。情報は公開されているので、「隠されている」という表現は適切では無いかも知れませんが、ユーザーの視点からすると隠しておいてもらった方が利便性が高いので、必要な人だけより高度な使い方ができる様になっているのです。

具体的には、Ventoyの見た目をカスタマイズして好きな画像を表示させたりして、組織やチームで同じツール(USBメモリー)を使用するなんてこともできます。

また、煩わしいセキュアブートの有効・無効を省力する為にVentoyのハッシュを登録することも可能です。この辺りになるとかなり深入りして来るので、中上級者向けの機能になってくると思います。

プラグインを追加して、より高度なことを実現したり、隠されている機能にアクセスするVentoy-Plugsonという機能も使えます。Ventoy-Plugsonを実行すると、Webブラウザーで詳細機能にアクセスできるようになります。

VentoyによるLive版Linuxの永続化(状態保存)

基本的にLinuxをBootした後は、Live版で一時的に使用するか、ストレージにインストールをして使用しますが、Live版を永続化する方法(Ventoy Persistence Plugin)も少しずつ開発されていってます。

今のところ限られたディストリビューションに限定される様ですが、こういう技術や概念が一般化してくるとディストリビューション側もしっかり対策してくると思うので、地味にユーザーが増えて欲しいという願いもあります。興味のある人は下記の記事を読んでみて下さい。

個人的にはLMDE7のLive版を永続化する方法を試してみたのですが、LMDE7ではまだ実現できていないみたいで上手く状態が保存されませんでした。debianの成功実績が掲載されて無いのでdebianベースのLinuxディストリビューションではまだ上手くできないのかも知れません。素直にUbuntu系を使えば確実なのでしょうが。

個人的には、退役ノートPCを一時的にLive版でBootしてWi-Fiのエリア調査に使ったりとか、WireSharkでパケットキャプチャを撮ったりとか、トラブルシューティング的に使えるかなと思っています。また、出先でネカフェのPCを使う際に慣れたLinuxディストリビューションでBoot出来れば作業が早いかなと(環境構築済で持ち歩く)。

Live版のリビルドがもっと容易であれば、こういうツールの出番は減ると思うのですが、現時点ではLive版を永続化できれば限られた用途とは言え便利そうですね。

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