JBL Control 1
JBL Control 1は、BOSE 101MMと並んで長寿シリーズと言える優秀なコンパクトスピーカーです。BOSE 101MMが基本構造を頑なに守って作り続けられたのと違って、JBL Control 1は少しずつ改良されて継続販売されてきた違いがあります。
また、音の性質も大きく違っていて、BOSE 101MMはどこか落ち着いた印象があるけれどどっしりとしていて、かつ音量をある程度上げてやるとたちまち元気の良いサウンドを鳴らしてくれるスピーカーです。
JBL Control 1は、似たような構造でありながら大きく違うのが高音域を担当するツイーターが実装されている事で、華やかな高音域を放つ事が出来る点で101MMよりも自然でオールマイティーなサウンドを鳴らせるスピーカーです。
比較するとBOSEはBOSEっぽい音、JBLは自然な音でありながらJBLらしいと言われる華やかで元気な音を主張する個性をもっており、いずれも支持される個性を発揮出来る製品なんだと感じます。こういうスピーカーを手にすると日本製の個性の無いスピーカーが音響特性的に優れているとしても物足りないと感じてしまい、BOSE/JBLの魅力を評価してしまいます。
所詮はオーディオなんて言っても生演奏(ライブ)とは違う訳ですし、ライブですら生音とは違う訳ですから正しい音なんてありえません。本当に正しいと言える生音を聴けるのは演奏者のみと言っても過言ではないでしょう。リスナーは好みの音で聴けば良いんだと今の私はそう思っています。
だからこそこれらのスピーカーを使ったらやっぱり戻ってきてしまう訳です。
中古ゲット
さて、JBL Control 1と言えば古い機種です。もはや新品の状態で残っているなんて事は無いでしょうから後継機種を選ぶか、ジャンクを手に入れてメンテナンスして楽しむしか無いと思われます。幸い、スピーカーユニットはしっかりした作りなので、ウレタン素材のエッジ(経年でボロボロになる)を貼り替えてやる事でまだまだ楽しめる魅力があります。
ヤフオクでJBL Control 1を検索すると、エッジがボロボロと崩れ落ちたものが連日出品されてきています。エッジの貼り替え(清掃)にはかなりの手間がかかるので通常は売り飛ばして新しい機種を買ってしまうと言う事になるのでしょう。
しかし、私は、過去にオーディオにはお金をかけないと楽しめないなんて間違った事をした経験があるので、お金をかけずとも手間をかける事を楽しみながら、オーディオも楽しんでしまおうという発想で現在は行動しています。
実際、そういう手間を楽しみながらやっている人が世界中に沢山いる様で、YouTubeでもスピーカーのエッジ交換作業の様子を配信してくれている人がいます。
Control 1はコンパクトなスピーカーなので細かい作業になってしまいますが、その分費用も安く済むので日本人には向いているスピーカーだと感じています。音は幅広いジャンルに対応出来る優秀さで申し分無く楽しめますからね。
そういう訳で中古(ジャンク)でエッジ崩壊品を格安ゲットです。送料は1,000円程度かかるのでどうしてもある程度の金額にはなります。
加えて交換用のエッジを自作するならまだしも、既成品(汎用品)で手軽に済ませるとなるとその購入費用もそこそこかかります。
結局そんなに安くは済ませられないのですが、手間をかけながら完成するのを楽しみに作業を進め、そして完成品でお気に入りの音楽を奏でるというのが醍醐味なのでしょう。
しかし、なかかか大変です。ボンドで貼り付けられたウレタンエッジは加水分解でボロボロ。ボンドはネバネバして手に付着するし、簡単には剥がれないので苦戦しまくりです。爪に負担がかかるので指先がジンジンします。
かなり頑張りました。左側はエッジを完全に除去した状態です。右側はエッジがコーンの周囲にまだ付着した状態です。特殊なゴム状の接着剤できっちり接着されている為、一体化してリング上に見えます。
これらを完全に剥がして下処理を終わらせます。ボンドのネバネバが取れなくてなかなか大変な作業です。
手はベタベタに汚れ指先が痛いですが達成感はあります。ようやく第一ステップを終わらせた満足感があります。(取り切れない接着剤がまだこびりついていますが・・溶液を使わないと完全除去は無理ですね)
完全主義な人や、クリーニングもとことん拘る人はこの段階ではまだNOだったりするのでしょうが、私はそこまで完璧主義ではないのでこれくらいならOKでしょって感じです。どうせ上から接着するので見えなくなる訳ですし。
交換用エッジはここで買うことにしました。
余談でエッジとかバスレフとかについて記しておく
エッジが崩壊してしまっていてもスピーカーをアンプで駆動すれば一応動作して音は出ますが、エッジの大切さは特にバスレフ構造だと痛感出来ると思います。
エッジが崩壊して隙間が空いてしまうと、空気がそこから漏れてしまうのでスピーカーユニット(コーン)が前後して空気を振動させる力がスカスカと空振りしている様な状態になります。ひどい状態だとカチャカチャ音がしちゃいます。無理させると壊れるので少し確認したら止めましょう。
スピーカーは箱にしっかり固定されて密閉され外部と内部の空間を遮断しています。この状態で共鳴管を通って穴が開いている構造がバスレフです。BOSE 101MMも、JBL Control 1もバスレフ構造で、低周波に共鳴する管がありそこから空気が出入りします。
科学実験で有名なデンジロウ先生が世に知らしめた「空気砲」でポフポフと空気を送り出している様なものです。
エッジが破れてしまうと、いくら大音量でコーンが大きく前後しても動かせる空気はその面だけです。バスレフ構造を活かすにはエンクロージャーによる密閉が重要なのでエッジが破れているのは論外とも言えます。
空気砲を取り上げたついでに記しておくと、ブロアーでバスレフ穴から空気を送り込むと正常なControl 1はスピーカーのコーンが前後します。送り込まれた空気の圧力でスピーカーが前に出てくるのです。内部がしっかり密閉されていることの証だと思います。
ちなみにBOSE 101MMは、我が家で所有している2セットともに同じ実験をしてみましたが殆ど動きません。勿論ブロワーで力強くバスレフ穴から空気を吹き込んでやると少しコーンが動く様子が分かりますが、BOSEのスピーカーユニットはJBLに比べると硬い(重い)ので少し空気を送り込んだ位では動かないのだと思われます。こういう違いも音質的な個性に繋がっていますね。
単純にコーンの動きが軽やかな方が音を振動させる能力が高いんじゃないか?と思うのですが、そうとも限らない様で、その辺りの加減が製造した人の狙いによって違ってくる様です。
スピーカーはコーンが元気よく前後している方が見た目からしても性能が良さそうに思うのですが、音を伝える(空気を振動させる)という事は単純にそれだけでは無いのが奥が深いと感じます。
この辺りにBOSEとJBLのスピーカーの性質の大きな差があると思われます。JBLはスピーカーユニットの動作の通り軽やかな音を奏でるので、より原音に近いと言えるかも知れません。BOSEはスピーカーユニットの重みで個性的な音を演出しているのでしょう。
スピーカーを固定する箱をエンクロージャと呼びますが、エンクロージャの構造的には、BOSE 101MMの方が堅牢で隙間をしっかり塞ぐ構造になっていると感じます。蓋をあけてメンテナンスするのもやりやすいです。
JBL Control 1は蓋を開ける時にわかりますが、接着剤を使用して隙間を埋めています。エンクロージャの構造的に密閉性能が弱いから強引に辻褄合わせをしているのではないかと思わざるを得ません。
またControl 1のツィーター固定部には、接着剤らしきもので隙間を塞いでいる(ベッタリと流している)強引な手法が使われており、製品としての設計と工作精度としてはやや落ちるのではないかなと感じます。
しかしながら、結果的には「音」なので、内部がどれだけ強引な作りになっていようが、音を奏でる性能(質)が高ければそれは正解だとも思います。そもそも分解してリペアすることなど考えて作っていないのかも知れませんし。
エッジの貼り付け作業についてはまた別途記そうと思います。
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