Google Apps(G Suite)にはお世話になった
マイドメイン(sasapurin.com)を取得して色々なネットワークの学習をしていた頃、メールサーバーも自前で動かしていましたが、しばらくしてGoogleのGoogle Appsの無料枠でGmailサーバーが使える様になり、Googleのメールサービス(無料)には長年お世話になって来ました。
Google Apps(G Suite)はGmailだけでなく、スプレッドシートやカレンダー等で情報共有ツールとして使える仕様で、ちょっとした組織であればこれで便利に対応できるんじゃないかと言う仕組みを備えていましたが、私の場合は個人(家族)で使っているレベルだったので、メール以外は全く活用していませんでした。
それでも、年間1,500円程度のドメイン利用料だけで自分専用のメールアドレスを持てたわけですから非常にありがたかったです。現在までに引っ越しがあったりISPを乗り換えたりして、ISPのメールアドレスは変更になりましたが、マイドメインのメールアドレスを使っていたため、ずっと使い続ける事が出来て全く面倒なことはありませんでした。
Google Workspaceとして正式に有償サービスへ(2022年7月)
Googleは色々なサービスをテスト段階からユーザーに使わせて、バグの修正や機能の改善を行っています。そして完成度が高まると有償サービスへと切り替えます。Google Apps(G Suite)はGoogle Workspaceへと改名されましたし、今年5月の移行申請(サブスクリプション購入)を期限として、無償利用は出来なくなりました。
無料から有料になる。しかしもはやマイドメインのメールは手放したくない。手間を考えたらサブスクリプションを購入すべきだろうと考えたのですが、課金が1ユーザー当たり月額680円と安くはありません。家族で使っているので人数分を考えると、メールアドレス1個に680円毎月払うのはちょっときついなという結論に至りました。こうなると、メール専用サーバーをレンタルで借りるのが現実的だと考えました。
レンタルメールサーバを借りる
比較は、「さくらのメールボックス」、「お名前メール」、「ムームーメール」と3社を比較しました。「ムームーメール」が安くて手軽かなと思ったのですが、仕様上の制限があり用途に合いませんでした。お名前ドットコムは以前ドメインの利用で使っていましたが、使わなくなったドメインを切らしたところ、アカウントも無効になってしまっていたため、面倒に思えてパスすることにしました。「さくらインターネット」は「VPS」を借りていることもありますので、アカウントも登録済で支払い情報も登録されていますから余計に支払い先を増やすこともありません。
2週間のお試し期間付きなので、今使っているドメイン✕3つに割り当てているブログサーバ、メールをGoogleからさくらメールボックスに移行させられるか検証することにしました。ちょっと面倒なことにマイドメインは、VALUE-DOMAIN(2個)、ムームードメイン(1個)で取ったものなので、さくらインターネットの仕組みにマッチするか検証しなくてはなりません。
結果的に、さくらインターネットの仕組みでなんとか既存の3つのドメインを使いながら、メールサーバーも移行させることが出来ました。DNSの関係で一時的にブログへの接続は出来なくなりましたが、2時間程度で済ませられました。
残念、複数ドメインの場合メールアドレスは柔軟ではない
さくらのメールボックスの場合20個までのドメインをメールボックスに割り当てられますが、仕様上、メールアドレスの@より左側がユーザー名となり異なるドメインで同一ユーザー名は同じユーザーと見なされることがわかりました。例えば下記は2つの異なるドメインのメールアドレスですが、@の左側が(aoipuchu)なので、同一ユーザーとなり同じ人が受け取ることになります。
- aoipuchu@sasapurin.com
- aoipuchu@hogehoge.com
動作的には、上記にそれぞれメールが届いた場合、aoipuchuというユーザーのメールボックスに一緒に入るので、メールアドレス(ドメイン)で区別することが出来ません。これは残念ながらそういう仕様の様です。
言い換えると複数ドメインを所有していたとしても、ユーザー名はユニークにする必要があり、ドメインをフル活用出来ないという制限があります。マルチドメイン対応という標記には注意しなくてはなりませんね。
ドメイン登録のしかたに癖があった
さくらのメールボックスにドメインを登録する際、ゾーン設定されていると登録出来ませんでした。さくらインターネットのレンタルサーバーサービスには、DNSサービスも含まれており、DNSは無料枠で5つまで管理することが出来ます。どうやらさくらのメールボックスはこのDNSサービスと連携しており、利用されていない状態のドメインでなければメールボックスに割り当てることが出来ませんでした。
仕方ないので、既に使っているドメインのゾーン情報をPDFに印刷(バックアップ)して一旦削除し、未使用状態としてから、さくらメールボックスに登録しました。
- さくらインターネットで取ったドメイン
- 他社で取ったドメイン
私の場合は前述のとおり他社で取ったドメインを移管せずに使用します。その際、さくらインターネットのDNSサービス(5つまで無料枠)に未使用の状態で登録した後、さくらのメールボックスに登録します。ここでの注意点として、さくらのメールボックスに登録する時点でDNSゾーン情報が存在すると「使用されている」ので登録を拒否られますので言われた通りゾーン情報が無い状態にしました。
上手くさくらのメールボックスに登録できると、さくらのDNSサービスには最低限のゾーン情報が自動的に設定されます。例えば@(ドメイン)のAレコードは、さくらメールサーバのIPアドレスが自動で定義されます。
メールボックスだけの利用であればこれで構いませんが、私の場合はブログ(Webサーバ)を使っているので、ドメインを有効活用するためにブログが稼働しているVPSサーバのIPアドレスをAレコードとして設定し、新たに契約したメールサーバのIPアドレスをMXレコードとして手動で設定しました。つまりゾーンファイルは自分でカスタマイズする必要がありましたが、自由に変更できる余地を残してくれていたのは好印象です。
なお個人的にドメインのDNS、メールサーバーは自宅サーバーで稼働させていた経験もあり、基本的な動きは理解していたので、さくらのDNS、メールボックスの設定においては、多分こうなるだろうという想像を働かせながら行って狙い通りの結果が得られました。メールだけでなくホームページやブログも併用したい場合は、DNSの知識が少し必要になります。
メール専用サーバ(おすすめ)
今回、私はさくらインターネットのメールボックスを選びましたが、使ってみてこれはオススメしたいものだなと思いました。メールボックスの利用だけであれば、初心者でも設定できる簡易さで手軽に自分専用のメールアドレスをお安く持てるからです。家族がいるなら同一ドメインで、@の左側だけを違うものにして共用出来ますからお得感は更に増えます。
具体的にいえば、ISP(インターネットサービスプロバイダ)を契約し、メールアドレスを1つ付与されたとしても、それ一つでは家族で使い分けることが出来ないという時代になっています。そうなるとISPにメールアドレスを追加申請し、追加したメールアドレス分の利用料を追加支払いすることになります。
これはこれでお金で解決する話で手軽さを選ぶ人には良いのですが、転居などによって同じISPを使い続けることが出来なくなる場合もあります。私の様に仕事の都合で単身赴任しなくてはならない場合も生じるでしょう。そうなるとまた新たにISPを契約しなくてはならなくなったりします。
そして決定的に不便なのは、ISPを解約するとメールアドレスを返却しなくてはならないことです。ISPによってはメールサービスだけは残すことができる場合もありますが、原則的には回線と一緒に返却することになります。そうなると取引先や友人にメールアドレス変更を伝えなくてはなりません。これは案外ストレスです。
もし、メール専用サーバを契約しておけばISPは自由に変更出来ますので、メールアドレスはずっと使い続けることが出来ます。必要な費用は、マイドメイン利用料(年間1,500円程度)、メールサーバ利用料(年間1,000円程度)ですから、年間2,500円をみておけば永続的にメールアドレスを利用し続けられます。しつこい様ですが家族が多ければ頭数で割れるので更にお得です。
さくらのメールボックスの設定をやってみて、これは簡単だなと思いましたし、メールサーバの利用料も現実的な価格設定にしてくれているところは良いなと思いました。学生さんや新社会人の方は自分専用のメールアドレスを自分の好きなマイドメインで利用できる様にし、これから先ずっと使い続けていくと便利じゃないかな?と思います。私は10年以上ずっとそんなことを続けているのでこの便利さを知って欲しいです。
もちろん、長い間ずっと無料で安定したメールサーバを使わせてくれたGoogleさんには感謝しています。しかしGoogle Workspaceとして使わない機能まで実装された状態で、はいお金払ってねと言われても、1ユーザー(メールアドレス)につき680円の月額利用料はお支払い出来ないなぁと言う感じです。年間8,160円となると手軽さもなくなり家族で使用していると人数分になるのでちょっと無理です。
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