アニメ版のCapeta(カペタ)をTVで見ました。
曽田正人氏の作品を一言で言えば「熱血」です。「スポ根」と言う言葉に近い感じもあリますがスポーツが題材では無いので、やっぱり「熱血」かなと思います。
曽田氏の作品で一番印象に残っている作品は「め組の大吾」で、この作品で私は曽田氏の作品のファンになりました。
アニメは動きを見せることができる手法なので、漫画以上に作者の意図を視聴者に伝えることが出来る手法だと思います。曽田氏の絵は丁寧に描かれているので伝わりやすいのですが、正確に動きを表現する事に関してはアニメの方が表現力が高いのは言うまでもありません。もちろんアニメ作品を作る人達の技量や品質にも左右されますが。
ことモータースポーツを題材としたこの作品はアニメ化する価値があります。なぜならレーシングカートの動きを実際に体験した事が無い人には、四輪車があの様な動きをするとは想像が出来ないからです。
カートの構造は特殊であり合理的
私は実際にレーシングカートのレースを見に行ったことも有りますし、何度か練習で運転させて貰ったこともあるので、レーシングカートの動きが普通の車(自動車)とはかなり違う事を知っています。アニメでもまだ正確には表現できていないと思いますが、十分に特殊性は伝わってくると感じました。
レーシングカートを側面から見た写真等があれば分かると思いますが、人間の体重+エンジンの重量は「後輪」にずっしりとのしかかっています。「前輪」にはほとんど重さがかかっていません。この状態ではドアンダーです。普通にステアリングを切っても曲がりません。
しかしブレーキを使いながらステアリングを切ることで荷重が前輪にかかかりステアリング(前輪)が効く様になるのです。
ところがこのブレーキ加減がシビアで、ちょっと荷重をかけすぎると後輪が滑り出します。とたんにエンジン+人間の体重を支えていた後輪は遠心力の影響を受けます。加えてカートは車体の長さが短いので、簡単にスピンします。
レーシングカートを乗りこなすためには、こういうシビアでクイックな特性をうまくコントロールする技量が必要です。その動きは非常に特殊で通常の乗用車が公道を法規を守って運転している状態とは大違いです。
この作品の見どころ
主人公の勝平太(かっぺいた)のカート技術が上達した後を描いた部分では、かなりリアルにカートの動きを描いていることが伝わってきます。勝平太が身体を使って力技でカートを無理やりコントロールする様、そしてその動きを表現している辺りにはなんとも言えないリアルさを感じます。
アニメ版を全て観た後で惜しいと思ったのは原作(マンガ)をアニメ化した事によりかなり急いだ展開になってリアル感が失われた点です。特にステップアップしてフォーミュラに乗る辺りはかなり駆け足だったと感じますし、リアルさが失われ所詮アニメだなという感じになってしまいました。せっかくカート時代を丁寧に描いてただけに惜しいと思います。アニメ化はカート時代だけで止めておいてくれた方が良かったかも知れないなと感じます。
やっぱり原作はいいね
刺激されて久しぶりに原作(漫画)を読んでみました。やはり曽田氏の作品は、主人公が超熱血なのを再認識です。登場人物はアニメ版よりも原作(マンガ)の方が魅力的です。脇を固めるキャラクターが本当に個性的でそれを上手く描いていると再認識します。原作とアニメを比べると原作の質の高さが際立ちます。
バレエダンスの「昴」も、やはり曽田作品の特徴を兼ね備えています。
曽田作品を読んで思うのは、題材が新鮮だという事です。逆に言えば難しい素材だから描く人が少ないのだと思うのですが、それでも手抜きナシに全力の作品を描いてくれるので、読んでいて楽しいと感じます。ありきたりの題材を使わないところが曽田作品の魅力の一つとも言えると思います。
人間の人生の一例を描いている
また、主人公は突出した能力を持っているのですが、次々と降りかかってくる逆境に主人公は何度も挫折しそうになります。しかし曽田作品の主人公は逆境に負けずにそれを乗り越えて行く力強さがあります。作品として楽しく読めるのはこのバランス感覚だと思います。
人生は才能だけではうまくいかないと言う事は多いです。主人公は才能を持っているので普通の人が読むと嫉妬の気持ちも湧いてくると思います。しかし人生は甘くなく才能だけでは簡単に進んで行けない事を描きます。
これは人間一人一人にとっても同じことだと思うのです。マンガの主人公だけが特殊な才能を持っている訳ではなく、人間一人一人にもその人にしか出来ない才能や資質があると思うのです。そして誰にでも挫折や困難な状況は降り掛かってきます。
熱血が好きな人には是非手にとって頂きたい、そういう作品を生み出す作者です。きっとこれらの作品を読んで頑張ろうと思える元気を貰えると思います。
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