JBL Control 1とBOSE 101MMを比べてわかった違い~ボーズの音はPA向けに調整されている

オーディオという趣味について若い頃にはかなりハマっていた時期も有りました。当時行き着いた自分なりの答えは、家を設計してオーディオ込みで考えないと無理(終わりがない)だということでした。

あれから20年は経っていますが、現在のところ、音というものは「耳」と「皮膚」で空気の振動を拾ったものを「脳」で感じ取っているので個人差好みがあり、また体調などでも変化がある基準が変動するものだと思っています。

ピュアオーディオ系の大きなスピーカーじゃないとだめだという人もいれば、コンパクトスピーカーの方が聴きやすいという人もいますし、ヘッドホン、イヤホンじゃないとダメだという人もいます。

つまりこれがゼッタイだというものは無いと思っていますし、「良い音」という表現は人それぞれ違うので難しいものだと理解しています。それが私の今の基準というか前提になっています。

BOSE 101MMについて

BOSE 101MMは長年使ってきましたが、1705Ⅱという専用設計されたアンプをハードオフで中古ゲットして来てようやく、BOSEという音響メーカーが当時目指していたであろう音の方向性を感じ取ることが出来たと思います。多少は経年劣化してる事を考慮しても大きなブレは無いでしょう。非常にわかりやすい個性ですから。

1705Ⅱで駆動した101MMは、耳あたりの良い音を小気味良く空間に発射しているかの如く部屋の中の空気を振動させます。もちろんこの方向性は101MMの特徴だという事は理解していたのですが、1705Ⅱに備わっている専用イコライザスイッチを101側にすると、この個性が一層引き立つ様に現れるので再認識させられます。

101MMは11.5cmフルレンジスピーカー1発のシンプルなバスレフ構造です。内部には音の質を調整しているであろう回路がありますが、本当にシンプルなアナログ回路(フィルター)でありながらこれだけ個性的な音が出せるのは計算された設計をしているからだと思います。この単純なスペックのスピーカーが一番得意とする箇所をクローズアップして性能を発揮できるのがこの組み合わせなんだと痛感させられます。

スピーカーユニットの動きはハリのある動きですが、逆にいうと「しなやかさ」や「軽やかさ」を感じない動きです。おそらく苦手とする周波数帯があると思います。いやむしろその苦手な周波数帯は不要な音成分だとして設計されたユニットなのでしょう。得意なところを活かす設計をされていると思います。

ハッキリ言って101MMは原音を忠実に再現するというピュアオーディオ志向から言えば音響特性は大したこと無いと思います。特にステレオ音源を鳴らしてみるとピュアオーディオの経験があれば分かると思いますが、悪くいえばポンポンした音でバランスの悪い違和感を感じると思います。ピュアオーディオ志向の人がBOSEを悪くいうのはこういう部分だと思います。

しかし良い意味で言えば聴きとりやすい音が部屋の空気を振動させている事が実感出来るのです。このサイズのスピーカーの特徴でもある「バスレフ」構造が101MMの個性を引き立てていると思います。

この穴から元気な音が「ポムッポムッ」と出てきます。スピーカーユニットの振動板が空気を振動させるのと同時にしっかりとした構造で剛性の高いエンクロージャー(箱)が101MMの特徴的な音に大きく関係していると感じます。

つまりオーディオ的では無く、PAスピーカーなのだと気付かされます。ステレオ音源を鳴らしたスピーカーの中央に立ち、ちょっと動いてみてもベストなポイントが見つけられないモヤモヤを感じます。逆に言えばどこで聞いてもそれなりにきちんと聞こえます。耳に聞こえやすい音を鳴らすことに特化したチューニング(設計)がなされているのでFMラジオなんかは凄く聴きやすいです。

このスピーカーが喫茶店やブティック等の天井に吊るされてBGMを鳴らすという用途の為に多用(支持)された理由が分かります。比較的手頃な価格で販売されたにもかかわらず多く支持された理由が分かります。

当時BOSEが力を入れて開発したコンパクトなPAシステムだという事を嫌でも感じます。湿気や熱に晒される飲食店等でも使用されていながら未だに生きている個体が中古市場で手に入れられます。故に業務用として耐久性は文句なしです。

JBL Control 1を手に入れた

ここんところBOSEのPA的指向に結構ハマってしまった私ですが、ちょっと寄り道をしたくなって、ほぼ同サイズで対極の音質とも言えるであろうJBL Control 1を手に入れる事にしました。動作品とエッジが崩れたジャンク品をそれぞれ入手しました。

ジャンク品はエッジを交換(リペア)して使います。

既にモデルチェンジされて新品で入手は出来ない古いモデルですが、ウレタン素材のエッジがボロボロになる以外は今でも通用する銘機ですからエッジ崩れのユニットはエッジをリペアすればまだまだ活躍させられます。エッジを自分で交換する手間をかける気がある人ならヤフオク等で非常に安く購入出来ます。

BOSE 1705Ⅱ(アンプ)に接続して、101MMが取り付けられていたスタンドにControl 1を取り付けて鳴らします。Control 1の場合は専用のアダプターが必要です。101MMに比較すると明らかに華やかで艶のある音が聞こえます。101MMからは出てこなかった音がControl 1からは一斉に出てきます。こんなにも違うものなのかと改めて実感します。

率直にいえば、101MMに比べるとキラキラした音質という感じです。

101MMのスピーカーユニットに比べると、Control 1のスピーカーユニットの動きはしなやかで軽いです。JBLは音源を忠実に再現しようとする方向性だと思います。そういう意味でBOSEとJBLは対極に位置するのではないかなと感じます。

私がオーディオにはまっていたのは20年程前の話ですし、その頃に持っていた機材は全て手放してしまったのでピュアオーディオからは遠ざかっています。オーディオ用スピーカーは色々な音が広がる感じだったのを思い出しました。

ただ、同様にコンパクトスピーカーであるControl 1からも響く様な低音は全く聞こえて来ません。やはり低音域はそれなりのサイズのスピーカーじゃないと難しいのでしょう。それでもこのサイズからすれば十分と思える中低音は聞こえます。迫力のある音や低音楽器(ベース等)をメインで聴きたいならサブウーファーを併用するのがベターでしょう。

JBL Control 1から出る音はオーディオ的で軽くなめらな音質です。このバランスの良さはモニター用途に向いているとも感じます。柔らかくもありながらシャープさも兼ね備えている非常に優等生なスピーカーで、このサイズの筐体から出る音としては驚異的とも言えるかも知れません。

ただ、BOSE 101MMに比べると個性が見えにくいというか、毒が無いというか、綺麗な音がするね・・とサラリと聞き流せてしまう感じが方向性の違いだと気付かされます。(凄いことなのですが)

また、Control 1には高音域を再生するツィーターが備わっているので、単純に101MMと比較するのは無理があります。高音域の再生能力は明らかにControl 1の方が優秀で比較にならないのは言うまでもありません。この華やかさはControl 1の個性(優秀さ)の一つなのですから。

JBL Control 1というスピーカー

Control 1は本当に優等生、出てくる音は賑やかです。オーディオ的なのでナチュラルだし、多くの音的要素が溢れるかのごとく出てきます。この傾向は101MMと比較すれば非常にわかりやすいです。

しかしこれが一般的なオーディオ用スピーカーの常識ですから逆に101MMが特異と言えます。勿論、Control 1が長年支持されてきたのは一般的なオーディオ用スピーカーの中でも突出した何かがあるからでしょう。

Control 1の性能の凄さを一言で言うとバランスの良さだと私は思います。こんなにコンパクトな2WAYスピーカーからこれだけの広範囲の音域をバランスよく鳴らせるスピーカーのスペックは、多くの製品を比べても秀でているのは間違いなく、だからこそロング・スタンダードと言われ改良のベースとなって現在も後継機種が販売されているのでしょう。

TVの音をアンプを通して鳴らしてもAVアンプ&スピーカーとして自然にこなしてしまいます。雨降りシーンの音は雨が降っているかの様に聞こえますし、車の音は車の騒音の様に聞こえます。俳優さんのセリフもリアルに聞こえ非常にナチュラルです。ちなみに101MMでTVドラマや映画の音を鳴らすと違和感(リアリティの無さ)があってダメでした。

また、FMラジオも鳴らしてみましたが、当たり前の様にオーディオ的な音を聞かせてくれます。BOSE 101MMではこのナチュラルな感じは聴くことが出来なかった事を正直に記しておきます。JBL Control 1はコンパクトなオーディオシステムとして、真面目に向き合って聴きたい人向けと言えるでしょう。

101MMを改めて考察

101MMControl 1に比べて性能的に劣っているのか?と自問してみると、私の答えとしてはNoという回答になりました。それぞれのスピーカーから出てくる音の方向性が全く違うので誰でも簡単に違いに気づくことが出来るでしょう。そしてそれぞれの良さを感じ取れると思います。

101MMから出てくる音は、誤解を恐れずにシンプルに言えばPA的です。部屋にさりげなく(邪魔にならない音だけを)鳴らしてくれるスピーカーだと思います。更にアンプのボリュームをぐいっと上げるとスピーカーから元気よく音が出てきますが、大きな音で長時間聞いても耳(脳)があまり疲れない音です。ちょっとノリの良い音楽を聴いても耳づかれがしにくい感じです。

また人と人の会話を邪魔しにくい音であることは特筆すべき点なのかも知れません。そういう質の音成分だけがスピーカーから出る様にチューニング(設計)されているのでしょう。実に不思議でありBOSE社の目指していた音響へのポリシーと技術力を感じます。はるか昔にこのスピーカーが設計され世に出された訳ですから・・

用途によって使い分ける

JBL Control 1は多くの音的情報を空間に出せるオーディオ/モニタースピーカーと言えるでしょう。だからAV用途にもマッチするし万能とも言える優等生です。音楽をしっかり楽しみたい場合はこちらをチョイスすると幸せになれると思います。

BOSE 101MMは、このスピーカーならではの聴き取りやすい音だけを空間に出せるPAスピーカーだと私は思っています。BGMを鳴らしている状態のままマイクで店内放送してみたりしても、しっかり伝えたい情報が人の耳に入る特性を持っています。不思議ですが聞き取りやすいのです。

言い換えると重要性の低い情報は間引かれているとも言えるかも知れません。その代わり重要な情報は強調して伝えるという特性ではないでしょうか。これをアナログなパッシブ回路で実現している設計センスは面白くもあり素晴らしいと思います。なるべくしてベストセラー&ロングセラー製品となったスピーカーでしょう。

長年、101MMを使ってきましたが、いつの間にかこういう音が自分の中で標準になってしまっていたと気付かされました。もちろん101MMならではの音は部屋の空気を元気よく振動させるので、性能が低いと感じることはありません。むしろ優秀なスピーカーだと思い続けていました。しかし今回JBL Control 1と比べた事によって、かなり情報を制限してポイントだけを聴かせてくれていたんだなと認識出来ました。カーオーディオなんかはこっちの方向性が良いでしょうね。運転が第一なのですから。

ピュアオーディオ志向の人がBOSEを嫌うという話は昔から聞きますが、音源が持っている音情報を加工して(間引いて)再生する様な事が許しがたいと感じるからなのでしょう。ありのままを聴かせてくれることがピュアオーディオの理念ですからそれに反します。

しかし、音楽は楽しむものですから好みの音が聴けるなら、加工された音楽でも良いと思います。そういう意味では私は昔流行ったグラフィックイコライザでグリグリ好みの音質に弄るのが大好きです。

もし、コンパクトスピーカーに求める要求が、「オーディオを純粋に楽しみたい」のであれば、JBL Control 1の方が失敗は無いでしょう。でも出来ることならBOSE 101MMの音も聞いて比べてみて欲しいと思います。音を調整(加工)されたものがより好みだと思えるならそちらを選ぶ事も幸せだと思うからです。

この二つの機種は既に製造販売されていませんので(JBL Controlは後継機種があります)中古で入手するしか手は無いと思います。元々、そんなに高価なオーディオ機器ではありませんので中古で入手するなら(程度の良いものを選ぶべきですが)更に安く入手できると思います。

つまり私の様に両方を手に入れて気分によって使い分けることも現実的に可能だと思えるのです。ピュアオーディオで音を追求して行くのも楽しいですが、下手すると音を追求しすぎてナーバスになりかねません。楽しみ方は人それぞれなので正解は有りませんがオーディオは楽しむ為にあるものです。

そして聴き比べてみて、私が記した事が本当なのか?を自分自身で評価してみて欲しいと思います。きっとどちらかが気に入ると思いますし、もしかしたら私の様に両方好きで甲乙つけがたいと言う結論に至るかも知れません。

特別高価な機器でもなく、また大きなものでもありませんから、気分でスピーカーを交換するのがオススメです。両方設置しておいて、スピーカーセレクターで切り替えられる様にしておけばベストです。その時の体調や気分にあったスピーカーで聴けるのはちょっとした贅沢とも思えます。

旧品で入手が難しくなって来ましたので、どうしても手に入れたいという人は、ヤフオク等もチェックする必要があるかも知れません。良い個体と出会える事を陰ながら願ってます。

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