将来の自分のために テリオスキッド にした理由を記録しておきたいと思います。意外とブログを後で読むと忘れている事が多いものです。自分の為にも記事を書いておきます。
購入のいきさつ
仕事先と自宅の行き来をする必要があるため車が必要になり、否応なしに車を購入する事になりました。高知市~中村間のJRは通っているのですが、電車賃だけ考えてもかなり割高だし、乗車時刻はごく限られるので現実的ではありません。仕事が遅くなっても車があれば自分のタイミングで帰れます。JRで行き来するのは現実的に無理でした。
ハッキリ言って車を持つとお金がドンドン出て行くのは誰でもわかっていることなのでなるだけ車は所有したくなかったんですけどね。一度車を手放してお金が減るペースが遅くなったので(貯金に回せる)車はマイナス資産とも言えます。
停めておく駐車場代、毎年の自動車税、車検費用は例え乗らなくても出て行くお金だし、かと言って乗らなければ機械の劣化という別の弊害もあります。
屋根付き車庫で好条件でナンバー抹消で保管できたとしても、経年劣化で傷んでいくし、そんな環境で保管するのはマニアか希少車を保有しての財テクだろうからかなり特殊な事例です。
現実的には、乗れば乗った分のガソリン代、オイル等の油脂類の劣化、タイや等の消耗品、そしてメンテナンス費用がかかります。
軽自動車にすることにした
過去に所有した車はほぼ趣味の為に手に入れた車であったので、こういう事はあまり深く考えない事にしていました。しかし今回は事情が違います。完全に足として使う訳だから維持費はなるだけ節約したいです。車に乗りたい(所有したい)訳ではないので車を維持する金がかかるのでは何の為に働いているか分からないです。
そこで自分なりに考えていくつかの条件で絞り込むことにしました。
これらの条件をクリアする車種に絞って行ったところ、ダイハツ・テリオスキッドの2WDがFRだということを知りました。
幸い、しばらく会社の社用車を借りて自宅と仕事先の行き来をしていたのですが、それがテリオスキッドの4WDでAT車でした。テリオスキッドは比較的素直な動きをする様に設計されている事は分かっていたので、パワーの無さ、車重の重さ、サスペンションのプアさを妥協してもありなのかも知れないと思いました。
軽自動車を購入するのあたって別に、アルトワークスやケイワークス(ラピュタ)の4WDも候補にしていたのですが、MT車の中古が高知では皆無に近い状態だと中古車店で言われました。仮に有ったとしても希少性からそれなりの金額になるという事も聞きました。
そこで、どうせなら乗った事がありそれなりに妥協点も分かっているテリオスキッドにしようと考えたのです。しかしテリオスキッドとてMT車がほとんど無い事を知りました。
そこで発想を転換して、県外から購入する方向で調べました。高知県内でMT車の数が少ないのであれば、本州(神戸、大阪辺り)で探してみようと思った訳です。
ネットのおかげでそういう事が現実的に可能な時代だという事を実感しました。最終的にネットで大阪の業者が持っているテリオスキッドの2WD(FR)に目をつけ購入する事になりました。テリオスキッドはただでさえ重いので、出来るだけ軽い方が良いと考えエアロ装備が無いものがベターだと思っていましたがそこは要望通りのものが見つかりました。
車検が残っていて乗って帰れる(後日名義変更して車検証のコピーを送ってくれればOK)というのもこちらのニーズを満たしていました。というのも輸送して貰ったとしても自宅に不在がちなので受け取りが困難であり、自分の自由がきく日に引き取りに行ける距離で調達したいと考えたからです。自分の休日の時間を費やす必要はあるが輸送コストは抑えられます。
テリオスキッド(TA-J131G)にしてよかったこと
MT車なので慣れたインターフェースが一番安心であり楽だと感じました。個人的に運転は自分のスキルと責任で行うものだと思っているので、一年以上、社用車のテリオスキッド(AT)に乗っていた事と比較してMTの良さを実感しました。うん、やっぱりMTがいいよ。
J111G(4WD)にしなくて良かったと思ったのは、やはりアクセルワークで車の姿勢を積極的に制御できる点が大きく違うと感じました。4WDは良い意味でも悪い意味でも安定しています。雨の峠道などでタイヤが滑ってちょっと暴れたとしてもアクセルを踏んでいれば4輪のトラクションで安定方向に引っ張って貰えます。
しかし逆に行えば、何をしても姿勢が安定していて動じないので思い通りに動いてくれません。特に会社のテリオスキッドに乗った時に、なんて言うことを聞かない車なんだ!とストレスに思ったのを思い出します。乗っている内に全てをステアリングで操作すべき車なんだなと4WDの特性に慣れても来たのです。
4WDは雨の日でも普通の走らせ方をしている限りは安定しています。ステアリングで行きたい向きを指定し、アクセルを踏めばタイヤが限界を越えない限りはトラクションがかかるので前に前にと滑走してくれる感覚です。これは安心にもなります。四駆を好む人はこういう特性を評価していると思います。
しかし、過去ずっとFR車に乗ってきた自分にとっては、アクセル操作で姿勢を調整しながら曲げるという慣れたフィーリングが通用しないのはストレスでもあります。
2WDのTA-J131Gに乗った時は、テリオスキッドのくせになんて軽快なんだろうと思いました。実際、テリオスキッドは鈍重な車体なので軽快さを感じることはあまり無い車なのですが、4WDから2WDに乗り換えた時点で軽快だと感じるのは、駆動方式の違いが明らかにあるという事です。
加えてMT車ではアクセルを戻した時の所謂エンジンブレーキが姿勢制御の有効なきっかけとなります。良いタイミングでアクセルを戻しつつステアリングを切ってやるとスススと向きが変わります。(正確にはド・アンダーな特性が消える程度だとは思う)
感覚的には4WDではステアリングで無理矢理向きを変えていた感覚が、FRの場合はアクセルで向きを変えられる感覚です。ただしサスペンションストローク幅が広いので車体がかなりロールする(傾く)し、反応するまでにはタイムラグがあります。ロールが落ち着いたら素直な弱アンダーステアが顔を覗かせます。これは分かる人には賛同して貰えると思うのです。
駆動方式による伝達ロスの少なさも2WDのメリットだと思います。4WDの場合は燃費が13km/L程度でしたが、2WDの場合は15~17km/Lは走ります。タンク容量は40Lと聞いていますが、普段は30Lちょいで給油しているので、燃費2kmの違いでも60km余計に走れる事になります。
結構マニアックなこだわりだと言われた、2WDでMTのテリオスキッドを選んだ訳ですが、それなりにキビキビと思い通りのフィーリングで走れて、燃費も良いのであれば正解だったなと思っています。
テリオスキッド(TA-J131G)にしてよくなかったこと(改良の余地あり)
年式が古いのでエンジンも古いです。当時の評判からしても燃費が悪いという指摘が多かったこともあり、今の時代の軽自動車と比べるとかなり燃費が悪いです。ひとえにこれは車重が重いのが原因だと分かります。オフロード向けにラダーフレームをビルトインした構造なので車重が重いのは仕方ないです。
乗り心地はハッキリ言って良くありません。サスペンションがプアなので、柔らかくゆらゆらするかと思いきや路面の凹凸は拾ってズンズンと突き上げてきます。路面状態があまり良くない舗装路ではタイヤが跳ねている感触もハッキリ感じ取れます。柔らかいサスペンションの割に突き上げてくる感じがあるのがなんとも惜しいです。しかしボディ剛性は比較的高いと感じるし少なくともヨレる感じは伝わって来ません。
テリオスキッドの操縦性
ここからはかなり細かい(神経質)なところまで書きます。おそらく普通の人は何を言ってるか分からないと思いますけどね。
まずロール量が多くステアリングを切ってから一呼吸待たないとサスペンションが落ち着かないため舵が効きません。つまりステアリング操作に対する反応は遅いのです。落下物などを発見し急ハンドルで避けたとしても動き始めるのが遅いので踏んでしまう可能性は残ります。例えるならスキーの体重移動(荷重)に近いです。しっかりと外側足のスキー板に体重を乗せてからでないと曲がり始めないのと似ています。感覚的には「よっこいしょ!」という感じです。
電子サーボ式ステアリングはせっかくのFRのメリットを殺しているので大幅な減点です。肉体派では無い私ですが後輪駆動車にパワステは不要だと思っているので、この車のステアリングのフィーリングの悪さは残念過ぎます。更にテレスコピックはおろかチルト機能も無いのでステアリングが上向き過ぎて手が届きにくいです。エアバッグ付きなのでボススペーサーを噛ます訳にも行かず、せめてチルトスペーサーなどを噛ませて少し手前に数度チルトさせて調整したいと思っています。
プアな足まわりと言えども、FRならではのステアリング調整&アクセル操作で姿勢を制御出来るメリットが死んでいます。パワステの質が悪くて微妙な操作が効かないのです。せめてパワステはオイルポンプ式にして欲しかった。車体は割と素直な動きをするのにもったいなさすぎます。
FRの姿勢制御を身に付けている人なら電子サーボ式でも学習的にそれなりにコントロール出来ると思うけれど、運転する楽しさはかなり減ると思います。電子サーボの動きが段階的(カクカクしている)で微妙なステアリング調整が効かないのは感覚的にストレスを感じます。
スポーツカーではないのでそんなもんでしょうと割り切るしかないです。車を足としてしか使わない大多数の人にはこれ位のざっくりさで十分なのかも知れないですね。
サードパーティーの部品がほとんど無いのも泣き所です。J111Gであればサードパーティー製品のサスペンションパーツや、駆動系のパーツも多少はありますが、J131Gについては皆無と言って良いほど見あたりません。
個人的には機械式LSDが無いのが非常に残念です。2WAYの機械式LSDを装着すれば、FRならではの自在なフィーリングを向上させられるのに。カスタマイズで締め上げる方向の選択肢がないのは残念です。個人的にはもう少し緻密さが欲しいな。
MTはATと違って、運転席の足元の左側にクラッチペダルがある為、AT車では確保されているフットレストが無いのも難点。ATのテリオスキッドでは気づかなかった弱点です。左足の置き場に困る(結局脚を伸ばしてクラッチペダルの奥の方に足を置いている)
慣れるまでは体が左側にすぐ倒れそうになって腰が痛くなっていました。慣れれば、クラッチペダルの下に左足を置いて有る程度バランスを取れるのですが、慣れるまでは体を保定するのが大変でした。
シートが左右非対処でステアリングセンターに座れないのと、構造的にもチープなので体を支える能力が弱いのも災いしています。もう少しシートを工夫して欲しかった。レカロ等のシートに替えるのも一案でしょうが幅が狭いので取り付け可能なシートも限られます。シートレールの種類も少ないのが実状なのでかなり制限があります。
左足膝辺りで体を支えられる様にセンターコンソールを少し張り出してくれても良かったのではないか?この辺りは自分で工夫してパッドを当てる等して、膝で踏ん張ることも必要かも知れないです。
そして良くない点の最後に記しておきたいのは外装クリア塗装の弱さ。紫外線等によりクリア塗装が劣化して剥がれてしまい、ボンネット、ルーフの塗装がしらけてしまっています。年式が古いとは言ってもダイハツ車特有のクリア塗装の弱さと言われるので仕方ないが残念なところ。塗装すると数万円飛んでいくので我慢して乗るか、乗り続ける覚悟で塗装するか・・DIYで簡易塗装とするか。
最後に
良い面、良くない面を記しましたが、軽のSUVとして当時は人気があった軽自動車だけあって、年式を考えれば全体的に良くできているとは思う。
J131Gはアフターパーツも無いので、大人しくメーカー純正でバランスを保った状態で、メーカー設計の範囲で乗るのが正解だと個人的には思っています。
というのも、案外メーカー設計は安全面を重視しているので、その範囲で乗れば安全は確保されていると思います。下手にいじってバランスを崩せばストレスしか残らないでしょう。一箇所をいじればバランスが崩れるので他で調整しなくてはならないが前述の通りパーツが無いのでそれも難しいです。故に何もしない(純正を維持)が一番得策だと思います。
思い起こせばテリオスキッドに初めて乗った時、コーナーで車が倒れると思って自分の体のバランスをとるために片足が浮いた恐怖を覚えています。実際には車体が倒れることはまず無いと思われますが、ロール角が深いのでハイトの高い車に乗った事が無い人はかなり違和感(恐怖)を覚えることでしょう。
徐々に車がどこまで大丈夫なのか試してみたりもしましたが、倒れる前にタイヤが鳴き滑り始めます。J131Gの場合は深くロールさせた場合にデフによって内側の後輪が空転するのでトラクションもかからなくなります。トラクションが失われそうなギリギリの辺りでコントロールすればリスクも少なくスムーズに旋回することが出来ます。
よって、見合わない車でスポーツ走行を頑張っても限界を突破することは難しく、危険が伴うだけだと思います。それであればメーカーが設計した範囲でいかにスムーズに走れるか、心地よく乗れるかを楽しんだ方が良いと私は思っています。そういう楽しみ方ができる人にはこの古い車両も十分魅力を感じとれると思うのです。
なお、メーカーが設計した安全範囲は意外と高いところにあり、安全が確保されたところでちょっと頑張ってみたところ、前輪、後輪が流れ出すスピードでコーナーに入っても、深いロール角のおかげかニュートラルステア付近でコーナーをスムーズに抜けることができます(アンダーステアから弱アンダーで収まるので、オーバーステアは全く顔を出さない)。もちろん一般的な純正レベルのタイヤでの話なので、スポーツタイヤを使った速度域の話では無いからスピードは知れています。
それでも完全に法定速度をオーバーする領域での話なので、制限速度+α程度であれば何事もなく走れる性能は持っているはずです。
テリオスキッドに乗り始めた当初は、ハイトが高い車体なのでブレーキを多用しなくてはならないという印象を持っていましたが、J111G/J131G共にそいう事は無いです。車間距離をきちんと取って適切にアクセルOFFすればきちんとフロントに荷重が乗るので、後は深いロール角をつかってしっかりと加重移動させてやれば、特にJ131Gは思いの外良く曲がるし言うことを聞きます。
ロールが落ち着いてタイヤが押しつぶされる感覚の辺りは非常にコントロールし易いです。もしJ131Gに機械式LSDを装着出来るなら、ホイールベースが短くリアが流れ出してからもトラクションをかけられるのでドリフト遊びも比較的容易に出来てしまうチョロQみたいなホビー車にもなり得たと思います。
しかし残念ながらJ131G(2WD)用の機械式LSDは販売されていません。J111G(4WD)用はオフロード需要があるせいか機械式LSDが販売されています。J111G用をJ131Gに流用出来ないかリサーチしたところ、リアのホーシングをJ111G用を流用する方法があり、ドライブシャフトもJ111G用を合わせて流用すれば移植は可能らしいです。
もしこれが実現すれば、J131Gはおもちゃになりえる車だと思います。なぜドリフトに機械式LSDが必要かは言うまでもないと思うが、敢えて記しておくとアクセルコントロールでトラクションのかかり具合、グリップを失う加減を調節出来なくてはドリフトを維持出来ないからです。純正デフでは浮き気味になった内側タイヤが空転しトラクションを空にしてしまいます。よってドリフト状態を維持出来ずコントロールすることは出来ません。
仮に無理してフロント荷重で突っ込んで一時的にリアが流れたとしても失速によってグリップは回復します。それでは継続してコントロール出来ている事にはなりません。コーナリングフォースとトラクションの加減を右足(アクセル)でコントロールする為にスポーツ走行にLSDは必須アイテムと言えます。また2WAYならアクセルOFFでも効果を発揮するため進入のアクセルOFFを活用出来ます。J131G用の機械式LSD(2WAYが好みだ)が無いのが本当に残念です。
という訳で、現実的にテリオスキッドを玩具にするならオフロードでも楽しめる4WDのJ111Gのものでしょう。反面、カスタマイズの余地も無く足として使うだけならFRならではの軽快さをかいま見れるJ131Gが燃費も良くて割と静かでおすすめです。私の場合は会社からJ111Gを長期間借りられた事で4WD/2WDの乗り比べが充分に出来たのはラッキーだったかも知れません。
冗長しますがJ131Gはアフターパーツがほとんどありません。よってカスタマイズの余地が無いので、いじって遊ぶとか言うつもりは無いです。勤務先の異動等で足車が不要となったら手放すと思います(長期的に所有しようとは思っていない)が、安く購入出来た中古車で、決定的に大きな不満もなく、自分の言う事を利く車に乗れているのは幸せなのかも知れないです。軽自動車にしては車重のヘビーさが最大の弱点だが素性は良く出来た車だと思うのです。無駄の無い運転を意識するとまた奥が深く、少なくとも片道2時間の退屈な職場と自宅の行き交い(週末帰省)は苦痛では無くなりました。
コメント