CPUクーラーをアップグレード~サイドフロー方式に替えて冷却性能がアップして動画処理に効果が現れた

PC

インテルの純正CPUファンがそろそろ寿命

今年は暖かいかと思いきや急激に冷え込んできてすっかり寒くなってしまいました。自宅でじっくりパソコンで作業する用にしている部屋にはデスクと椅子があり、そこにデスクトップPCを置いているのですが、私専用の部屋にしているので普段は人気もなく(火の気もなく)真冬は非常に寒いです。

Windowsパソコン(デスクトップ)も長年使っていることから、CPUファンが寿命を迎えてしまった様で、冷え込んだ日に電源を入れるとCPUファンが「ガラガラ・・・」という音を発する様になりました。流石に自身も寒いのでヒーターを入れて部屋を温めますが、暫くするとフッとガラガラ音が消えてシューンというスムーズな音に変わります。

この症状から推測すると、おそらくCPUファンのグリスが干からびてきて、寒さで固まっているが故に起こっているのではないかと考えています。そして温まってくるとグリスが柔らかくなってきて回転がスムーズになるという感じではないかと。いずれにしても異音を発する状態で無理やり使っていると変な振動から別の箇所を傷めることにもなりかねないので、CPUファンを交換することにしました。

私は別にオーバークロック等には興味ありませんし、普通に使えれば十分だと思っていたので、CPUに付属のリテールクーラーに疑問もなく使って来たので、適合するものを買って交換するつもりで買い替えの検討をしました。

せっかくなら冷却効率アップしたい(夏のことも考えて)

CPUクーラーについてリサーチしていて色々なことがわかりました。まず適合するものを選ばないと取り付けすることが出来ません。私が使っているPCはもう古いのでピンポイントでそのCPUに適合するクーラー(LGA1156用)を探すというよりは、互換性で使っているPCにも使えるものを選ぶことになるとわかりました。

また、インテルのリテールCPUクーラーに固執する必要も無いということがわかりました。なぜなら私が使っているPCのケースはミドルタワー型なのでケース容量に余裕があり、ちょっと大きめのものでも大丈夫そうだからです。それに今更古いPCのCPUクーラーを交換するとなっては高価なものを買うのも馬鹿らしいです。いっそのこと思い切ってPCを買い替えたほうが無駄がないんじゃないか?って思えてきます。

そこでリサーチがてらヤフオクで比べながら見ていると、リテールCPUクーラー(トップフロー方式)に対して、サードパーティ製CPUクーラー(サイドフロー方式)の存在を知りました。銅材のヒートパイプに冷却ファンが取り付けられていて構造的にも仰々しい形状になっていますが、合理的だなと思ったのはサイドフロー方式であれば、PCケースから排熱するためのファンに向かって熱風を吹き付けることができるので、空気の流れとして無駄が無いということです。

一方でリテールCPUクーラーで採用されているトップフロー方式は、マザーボードに向かって熱風が吹き付けられる感じになるので、それだけではPCケース内に熱が籠もります。それをPCケースの排熱用ファンで外に出さなくてはならず、空気の流れとしてきちんと考えてやらないとPCケース内は熱いままということが簡単に想像できます。

しかも、ヤフオクで見ていると状態の良いものや未使用品のサイドフロー方式のCPUクーラーがリテール品とほぼ同じ価格で購入出来てしまう事がわかりました。PCケースのサイズ的にも余裕がありそうだから、この際サイドフロー方式のものに替えてみることにしました。

思っていたよりデカかった(サイドフロー方式)

今回、ヤフオクで調達したサイドフロー方式のCPUクーラーは「DEEP COOL」というブランドの製品でした。調べていて気になったのは「CoolerMaster」の「Hyper 212 EVO」という製品が適合していて、ヒートパイプが直接CPUに接する様に設計加工されている写真を見て、これは熱伝導の効率が良さそうだと感じました。

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このこともあり、オークション入札で第一候補は「CoolerMaster」にするつもりだったのですが、ヤフオクで入札しておいたら終了間際に10円差で持っていかれてしまったのをオークション終了後に気づいて諦めざるをえませんでした。私は基本的に端数入札をしないので10円差とかで負けることが多いのですが、逃した「CoolerMaster」はお買い得だったのでもう少し高値で入札しておけばと悔やみました。

そして即決落札できる第二候補の「DEEP COOL」にしました。写真を見た感じだと「CoolerMaster」の方が加工精度が高く感じたのですが、「DEEP COOL」も同様の形状で悪くありません。同様に銅製のヒートパイプが4本直にCPUに触れる構造になっていて効率良く放熱が出来そうです。

現物が届いて箱を開けてみて大きさに驚きました。「これって、ケースに収まるかな・・・」という不安が頭の中をよぎりました。写真で見て想像していた以上に高さがあって失敗したかも知れないと思いました。

クリップピン式で脱着できるものなので組み付け手順は簡単です。劣化したCPUクーラーを取り外してグリスを掃除して新しいグリスを塗布。サイドフロー式のクーラーを取り付けてクリップピンで固定するだけです。もちろんファンのコネクタは忘れずにつなぎます。

サイドフロー方式のクーラーからは、8つの銅パイプの突起が出ていてこれがPCケースの蓋と干渉するのではないかと心配になりましたが、結果的に、ギリギリケースの厚みに収まるサイズでした。

おそらくATXの規格でサイズはある程度決まっているんだろうと思いますが、CPUクーラーの高さ(横に取り付けるのでケースの厚みに相当)は余裕が1cm弱といったところでギリギリ収まり蓋に干渉することはありませんでした。無事にケース内に収まってホッとしました。

サイドフロー方式のCPUクーラーで送った排熱は、PCケースの方に送られるので、空気の流れ的に効率良さが想像できます。少なくともリテールクーラーの様にMBに吹き付ける様な向きで冷却した排熱がケース内に滞ることはないでしょう。

コアテンプ(フリーウェア)でCPUの温度チェック

CPUクーラーの交換に際して、事前にCPUコアの温度をチェックしておきました。これを交換前(リテール)、交換後(サイドフロー)で比較することが出来ます。室温は約20℃で待機させている時の温度と、動画エンコードさせた時の温度で比較してみます。

リテールクーラー(アイドル時)

アイドル時はだいたい35℃程度で落ち着いている感じです。今は冬なので低めですが夏はもっと温度が高かったと記憶しています。

リテールクーラー(エンコード負荷時)

動画編集で一番CPU負荷がかかるエンコード処理をさせた時です。思いっきり温度が上がって85℃から90℃まで上がっています。色も警告の色に変わっています。夏はこの状態が顕著で直ぐに温度制御がかかりクロックが下がってました。もちろんエンコードを中断する等すれば負荷が下がりスーッと温度は下がります。

今まで一度もオーバークロックなどはしていませんが、CPUには負荷をかけてしまっていたんだなと改めて気付かされます。

サードパーティー製サイドフロークーラー(アイドル時)

アイドル状態ではトップフローもサイドフローもあまり差が無い感じですが、30℃以下なのは、現在が冬でPCケース内が冷えていることも関係していると思います。夏なら違った結果になったんじゃないかなと推測します。

サードパーティー製サイドフロークーラー(エンコード負荷時)

動画エンコードでしばらく負荷をかけている状態ですが、60℃ちょっとで収まってくれています。長めにエンコード状態を続けてCPU負荷をかけて様子を見ていたのですが、PCケース背面から温い空気が順調に排熱されるのでコアの温度上昇は60℃付近で抑えられています。交換した意味があったと感じます。

CPUクーラー交換の本当の効果について

今回、CPUクーラーをリテール品(トップフロー方式)から、サードパーティ品(サイドフロー方式)に変更した訳ですが、単純にCPUコア温度の観測数値だけでも冷却性能のアップが確認出来ました。しかし、本当の効果はこれだけではわかってないのが現実です。使ってみてやっぱり効果があったと実感しました。

というのも、ちょっとWebブラウジングをしたりYouTube動画を観たりしている程度ではさほどCPU温度は上がりません。瞬間的に上昇してもCPU負荷が下がるとスーッと冷えてきて温度が下がるからです。

しかし、ある程度の長さの動画をエンコード処理する場合は、一時間以上ずっとCPUクロックが上がって高負荷なままの状態が続きます。こういう場面で本領発揮です。CPUファンがリテール品ではCPUコアの温度が上がってしまい保護機能が働きCPUクロックが下がるのを避けることが出来ませんでした。CPUクロックが下がれば温度も下がりますが当然エンコードの速度も下がるのです。温度が上がりすぎるとPCが処理速度を下げるのでトータルのエンコード時間が長くかかります。

しかし今回、サイドフロー方式の高効率クーラーにしたことで、CPUコアの温度が多少上がっても保護機能が働くところまでCPU温度が上昇しないので、CPUは高クロックで動作しつづけることができてエンコード処理速度の低下を回避することができます。つまり、エンコード処理などでCPUの負荷が上がりっぱなしの状態が長時間続く場合は、CPUクーラーをグレードアップすることで処理速度の低下を防ぐことができるということがわかりました。

CoreTempのログ機能(CSVデータ)を使って一晩かけて動画エンコードさせてみた温度変化とCore SpeedをLibreOfficeのCalcでグラフにしてみました。CPUコアの温度は4つとも90℃以下に収まっていて、CPUクロックの低下を免れています。夏場ではここまで安定した動作は期待できないと思いますが、冬場なら冷却が追いつくのでCPU速度も2.6GHzで安定して動作することがわかりました。ターボブーストこそ働いていませんが(このCPUは最大3.6GHzまで)、安定してエンコードしてくれるだけありがたいです。

上のグラフは高負荷なエンコード処理の例なので、一般的なパソコンの用途であればCPU負荷がかかり温度が一時的に上がっても、処理が終わってCPU負荷が下がると冷えるので、CPUクーラーをグレードアップする意味があまり無いかも知れません。一時的にCPU温度が上がってもCPU負荷が下がればCPUの温度も下がるので体感的な速度低下がさほど感じられないからです。処理速度が欲しい時にクロックが上がって直ぐに処理が終わってクロックが下がってCPUを冷やしてくれれば事足りるのです。グラフ右側の方(エンコードは終わっている)で、PCを操作した時に一時的に3GHz以上で動作している様子も撮れています。

車で例えるなら遅い車の追い越しのために加速したい時にアクセルを踏んで、一時的にギューンと加速してくれれば事足りるって感じです。サーキット等で全開走行をずっと続けるわけではありませんからね。動画のエンコードはずっと全開走行をし続けている様な状態ですから常に発熱量は最大となり保護のために冷却性能が重要になります。

PCパーツの交換について

メーカー製パソコンは製品化する前の設計段階で冷却効率などはしっかり計算して作っているので、一般的な用途(オフィスソフトを使ったり、動画を観たり、ちょっとした編集をしてみたり)では体感的な性能低下は感じないと思います。また社外品パーツに交換したりしてもおそらく性能の向上は期待出来ないでしょう。設計の時点で最適化されているから良くなる余地がほとんど無いはずです。

しかし、自作PCの様に規格品のケースやパーツを組み合わせて構成したPCの場合は、ケースの内部構造(レイアウトなど)からしてメーカーによって多少の違いがありますし、組付け精度の差もあったりしてPCケース内部の空気の動きは最適化されていません。そこで自作ユーザーは各種パーツを交換してみたりしてより性能が引き出せる様に工夫をする余地があります。そういう余地を埋めていく部分が楽しいと感じている自作PCユーザーも多いでしょう。

私の場合は、自作PC自体が楽しいということはなく、単にPCとしてのコスパが良いということと、パーツが故障した場合、パーツを購入して自分で交換交換できるという、パーツの互換性が便利だと感じているから自作PCを選択しています。逆に言えばノートパソコンの場合はそういう余地が無いのである程度しっかり設計された信頼できるメーカー製を選択しています。(安価なノートパソコンは設計が雑なものが多いと感じています。)

あくまでの私の経験から勝手に持っている価値観ですが、

  • ノートパソコンの場合は、多少高くても信頼できるメーカー製を買ったほうが良い
  • デスクトップパソコンの場合は、規格パーツで自由に組み替えられるのでコスパ重視で自由にやったほうが良い(自分で修理するのは大前提)

こんな感じに考えています。

今回はデスクトップパソコン(ミドルタワーケース)のCPUクーラー交換でしたが、動画編集の結果をエンコードする際にCPU負荷が一気に上がり、しかもそれが1時間以上続くので、どうせCPUクーラーの交換が必要なら冷却効率をアップさせようと考えた次第です。

動画編集をする自作PCユーザーには、サイドフロー方式のCPUクーラーはおすすめです。しかし思っている以上にCPUクーラーが大きいのでケースサイズ(CPUクーラーの高さが課題)には要注意だと学習しました。もちろんそれは知っていたのですが、現物を手にすると想像以上に高さがあったんですよね。実際に事前にメジャーで計測せずに調達したのは横着しすぎたなと思いました。

サイドフロー方式(ケース内の空気の流れを考慮)

サイドフロー方式の形状的な違いは写真で見て取れると思います。ファンが吹き付ける向きが違うので空気の流れが作れるのを想像できるでしょう。

Deepcool AK400 CPUクーラー R-AK400-BKNNMN-G-1 FN1729

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トップフロー方式(コンパクトさ重視)

トップフロー方式の場合、ケース内の排熱も合わせて見直さなくてはならないんじゃないかと考えています。CPUの熱だけを逃がしてもPCケース内に籠もるとそれ以上は放熱できませんからね。冷却性能アップ目的でリテール品から交換する場合はトータルで考えなくてはならないので、トップフロー方式で冷却効率を向上させるのは上級者向けだと思います。

ヤフオク!のススメ

ヤフオク!で購入するしないはさておき、ヤフオク!では新品から中古品まで色々なものが出品されているので、特に中古品(現在販売されていない)を目にする情報ツールとして非常におすすめです。最初は違いが分からなくても色々な写真を見ていると違いに気づく様になってくるから不思議です。

今回私は古いPC用にパーツを選定する必要があったので(互換性で新しい規格から古い規格に対応していましたが)、色々なものを見るという情報収集ツールとしてヤフオク!は使える情報源だったと思います。

また、価格的な相場感を知ることも出来ます。中古でこの価格するのなら新品の価格も納得だなという感じで、納得した上で新品を購入するのも良くあるパターンです。中古でも人気があり数が少ないものは相場が上がる(場合によってはプレミア価格で新品より高くなる)と言うのも市場原理です。

ヤフオク!の場合は、たいていの場合入札者同士で競り合うことになりますので、徐々に金額が競り上がって行きますが、相場外の金額にまで上がることはほぼ無いんじゃないかと思います。(吊り上げ屋に捕まると相場以上で買わされる可能性も無いとも言えませんが・・)

ヤフオク!は価格調査のツールと割り切るのもありでしょうし、ヤフオク!で購入する場合は、気に入ったものを見つけても焦って入札せず、落札されるまで様子をみて相場感を学習し、次の出品を待つ位の慎重さでも良いんじゃないかなと思います。もちろんレアものだったりすると安くゲットできるチャンスを逃してしまう場合もありますが・・そこは自己責任ということで。

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