Windows用に使っていたポータブルスキャナー(モバイルスキャナー)MDS-820WをLinux Mintで使用したくて試してみることにしました。最近はWindowsパソコンの利用頻度が劇的に下がっており、もっぱらLinux Mint(LMDE6)で作業しているので、スキャニングもLMDEで行いたいと思ったからです。
確かメーカー(ブラザー)はLinuxのドライバを提供していたはず。そう思い出したので簡単だと思ったのですが、やってみるとモノが古いだけに難航しています。Brotherは一応当時からrpm系とdeb系のドライバを提供してくれています。
結果的に、現時点では公式が提供してくれているdeb系ドライバを使ってもLMDED6ではスキャナーとして認識してくれません。LMDE6、LinuxMint22.1、Ubuntu22.04で試しましたが全て上手く動作してくれませんでした。調べた限りではsaneがバージョンアップして来たことにより、当時Brotherが提供してくれていたドライバでは対応できなくなった様です(saneの構成が変わったみたいだ)。
なお、lsusbコマンドではデバイスをキチンと認識してくれていますので、適切なドライバが必要ということは分かります。
今のところ諦めますが、saneについて詳しく調べると打開策が見つかるかも知れないので調べたことや過程を記しておきます。おそらくこの機種だけの問題じゃないと思うんですよね。
sane(xsane)でサポートしているスキャナー
sane(Scanner Access Now Easy)は、各メーカー製のドキュメントスキャナでも同じ操作(コマンド)でスキャニングできるように作られたアプリの名称です。アプリ名だけでなくAPIの名称でもあります。
スキャナーメーカーは国内にもCanonやEpsonなどがありますが、大抵はWindowsでの使用を前提としているので、専用のドライバ、スキャニングアプリをインストールしないと使用できません。
私の場合はCanonの古いフラットベッドスキャナーを使用していますが、持っている機種がsaneでサポートされているので、USBケーブルでLinux PCと接続するだけで使用できて便利でした。なぜならCanonがWindows10(64bit)に対応するドライバを提供してくれなかったのでそれ以降はWindowsでのスキャニングは諦めてLinuxでスキャニングしていたからです。saneのお陰でスキャナーを買い換えなくて済みました。
上記でsaneが対応できているスキャナーを確認することができます。Supported Devicesにリストアップされているスキャナーならsaneで問題なく使用出来るはずです。
ブラザーのスキャナはsaneでのサポート機種が少ない
先述の通り、BrotherのMDS-820Wというポータブルスキャナーも使用しています。こちらはWindows10のドライバで対応出来ていたので、持ち運び用に便利でした。MDS-820Wはバッテリーによる稼働が前提の仕様で、SDカードスロットを装備しているので、単体だけでもスキャニングできます。スキャニングした後でSDカードを読み取ってJPEG/PDF形式のデータをPCに移せます。
MDS-820Wの便利なところは、Wi-Fi機能も装備されていて、いちいちUSBケーブルで接続しなくてもネットワークスキャナーとしても使用出来る点です。Windows環境であれば問題無いのですが、Windows PCの利用頻度が自宅では激減しているのでLinuxで使いたいというニーズが出てきた訳です。
しかし、saneのサポート対象には入っていません。saneの公式情報によるとBrotherのサポート機種は少なくガックリとしてしまいます。Btotherのスキャナーはあまりユーザーが多くなくて開発者も力を入れてないと想像します。実機が手元に無いと開発や検証も難しいですからね。
Brother公式でLinux用ドライバがあるが・・
BrotherはEPSONと同様に、Linux用のスキャナードライバを提供してくれています。但し発売時期が課題となります。当時はBrotherが提供しているLinux用ドライバを追加インストールすることで使用できていたのでしょうが、現在のLinux(sane)では公式情報通りになりません。
ダウンロードは出来るのですが、インストールしてもドキュメントの通りに進みません。インストール後に、brsaneconfig4というコマンドが使用できる様になるらしいのですが、Ubuntu、Linux Mint、debianでやってみても「コマンドが見つかりません」となってしまいます。
saneの構造が変更になったとか、Linuxディストリビューションのバージョンアップによって何かしら上手く動作しない要因ができてしまっているんだと思われます。
肝心の公式はソースコードの開示はしないとしているので、配布パッケージを解読してカスタマイズしたり独自に作ったりするのは許諾されるとしても、デバイスドライバ系のプログラミングスキルが無いと難しそうです。
というわけで、今回はここで手詰まりとなりました。saneプロジェクトに英文で相談してみる方法は残っていますが、Brotherのスキャナー対応状況(数が少ない)からすると解決は難しそうです。自力でもうちょっと調べてみようとは思っていますが、現時点は打開策は思いつかない状態です。
brsaneconfig4は他機種のドライバをダウンロードしてみた
brsaneconfig4について釈然としないので、ブラザーのソフトウェアダウンロードページに不備が有るんじゃないかと考えて、他機種「ADS-1500W」のページからダウンロードしてみました。
ここには「brscan4-0.4.9-1.amd64.deb」というファイルがドライバとして配布されていて、ちょっと期待させられます。そしてインストール後に「brsaneconfig4」というコマンドが使用できるようになりました。これでsaneで使用するプリンターとして登録出来るようになるみたいです。
~$ sudo brsaneconfig4 -h
USAGE: brsaneconfig4 [-OPTION] OPTION:
-a name=FRIENDLY-NAME model=MODEL-NAME ip=xx.xx.xx.xx
-a name=FRIENDLY-NAME model=MODEL-NAME nodename=BRN_xxxxx
: Add network scanner
-r FRIENDLY-NAME [FRIENDLY-NAME ...]
: Remove network scanner
-q : Query available network scanners
-h : Display this help message
-d : Diagnosis
-p : Ping (for network scanners)
-s:[LABEL] : Save current configuration
-l:[LABEL] : Load saved configuration
~$ sudo brsaneconfig4 -a name=brscanner model=MDS-820W ip=192.160.0.222
~$ sudo brsaneconfig4 -a name=brscanner model=MDS-820W ip=192.168.0.222
"brscanner" is already registered.
~$ sudo brsaneconfig4 -q
* [ 192.168.0.222]
~$ sudo brsaneconfig4 -r brscanner
~$ sudo brsaneconfig4 -q
~$
Code language: JavaScript (javascript)
パラメータ-aで登録、-rで削除、-qで登録確認が出来るということが分かりました。IPアドレスを変更するには-rでプリンタnameを指定して削除してから登録し直す必要があるっぽいです。
パラメータ-dでテストが出来ます。PING試験も実施するのでMDS-820Wに設定している192.168.0.222との疎通が確認出来ました。一気に期待させられます。xsaneを起動するとスキャンが始まりました。

しかし、デバイスを開けないというエラーが返ってきました。

待たされるので通信はしてるっぽいです。「brother4:net1;dev0」というのはネットで検索してみるとブラザースキャナーを使える様になっている人も記しているので正常っぽいです。つまりスキャナーの登録は出来てるけどデバイスを開けない(ドライバに問題あり?)という感じです。不正な引数ですというのが意味が分かりませんね。
実験的にスキャナーの電源をOFFにした状態でやってみると、

「デバイスが使えません(ありません)」と待たされずに直ぐに表示されます。これは明らかに通信が出来ないので当然です。表示されるメッセージに違いがあるので通信は出来ているということが確認できました。
という訳で、通信は出来る状態になったけれどネットワークスキャナーとしてはまだ使えない状態です。やはりドライバ関係でしょうね。
他に試してみたこと
他機種から、brscan3をダウンロードしてきて試してみたところ、brsaneconfig -aで登録が失敗します。
~$ sudo brsaneconfig3 -a name=brscanner model=MDS-820W ip=192.168.0.222
Invalid model name
デバイスの型番が違うと弾かれています。
ということは、MDS-820Wはbrscan4(brsaneconfig4)を使うということで間違えてはいないんじゃないかなと思われます。やはりブラザーのMDS-820WのLinuxドライバ配布ページに不備ありと思えてきました。
少し近づいたけどまだ解決方法見つからずです。
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