ロジクールWebカメラC920t
ロジクールのWebカメラC920tを使っていましたが、なんだか調子が悪くなって以来放置していました。重い腰をあげて修理をする気になったので引っ張りっ出して調べてみることにします。もう保証期間はとっくに過ぎているので自分で修理してみることにしました。
PCに接続した直後は正常に認識されて使えるのですが、通電してしばらく時間が経つと急に映像が乱れてきます。そのうち下の様なエラーが表示されPCがC920tを認識出来なくなるという不具合症状です。

問題が発生しました
必要な場合、エラーコードは次のとおりです
0xA00F4271<MediaCaptureFailedEvent>(ox8007001F)
最初は問題があると言うメッセージが表示されるのですが、更に時間が経つとUSBデバイスとしてカメラを全く認識していません。カメラを未接続の状態でカメラアプリを起動しても下図の様に表示されますので、もはやUSB接続されていない状態と同じです。

カメラが見つかりません
カメラが接続され正しくインストールされているか、ウィルス対策ソフトウェアによってブロックされていないか、カメラドライバーが最新のものに更新されているか、確認してください。
必要な場合、エラーコードは次のとおりです:
0xA00F4244<NoCamerasAreAttached>
最初はWindows OSに関係するドライバの不具合だと思ったのですが、切り分けのために別マシン(Linux)で試しても同じ症状だったので、C920t不良だと診断しました。切り分け環境があると原因箇所を判定できるので便利ですね。
不具合の原因調査をする
こんな状態でそのうち修理しようとそのまま放置していたのです。Webカメラを使う出番が少なくてあまり使い込んではいないんですけどなぜ調子が悪くなったのだろう。映像品質的には割と気に入っていて、だてにCarl Zeiss Tessarレンズ使用ではないのかなって感じです。

カール・ツァイス・テッサーレンズはノキアのケータイに搭載されていた機種を好んで愛用していたことがあり、やや個性的な発色が好きです。Webカメラは屋内使用がほとんどなので色味はさほど重要では無いのかも知れませんけどね。
「テッサー」はカールツァイスの小型のレンズに付けられる名前の様です。フィルムカメラの時代の「プラナー」の描画には見たことのない画質に感動した経験があります。またノキアのN73ではテッサーのレンズが使用されたカメラが実装されていて、画質の良い撮影が出来て愛用していました。
このカメラの不調については、永らく宿題を残しっぱにしていたのでスッキリしなかったのですが、先日手に入れたLEDライト付きヘッドマウント・ルーペがありますので、基板の目視チェック(おそらく半田クラックだろうと想像)もできるかなと面倒くさい思いもありながらやってみることにしました。
貴重な休日の時間を使ってなのでやる気が出てないと当然やるわけがありません。老化現象で目が見えにくくなって細かい作業がおっくうになるので歳はとりなくないものです。
隠しネジを探して分解を開始する
ちょっとリサーチしてみると既に分解して情報を出してくれている人がいるので助かります。だいたいネジが見当たらない場合は貼り付けてあるシールの下にネジを隠していたりするものです。このWebカメラの場合はサイドのマイク底面にあるおむすび型のシールを剥がすとネジが出てきます。ここが肝です。

ネジはフィルム状のシールで隠されており、更にゴムっぽいシートで化粧しているので剥がさないと内部にアプローチできません。

ネジを2本✕左右の合計4本外してから、サイドのマイクカバーを取り外しました。爪でこじってみたのですがなかなか頑固で爪が傷だらけになりました。そこで使い古しの歯ブラシを切り落として柄の部分の先端を削って「こじり道具」を自作しました。
ケースを開ける
隙間に差し込んでグイッとすると簡単にステレオマイクカバーが取れました。自作であろうと道具が有れば作業効率がアップして早いです。 マイナスドライバーでこじるとプラスチックケースが傷だらけになるので、こういう自作の道具(捨てる歯ブラシをカッターで削ってヘラにする)を使うと便利です。

次にフロントパネル(透明プラスチックパーツ)を取り外し、見えてきたネジを外してスタンドというか取り付け土台を外しました。ノートパソコンのヒンジみたいな構造になっていますね。

内蓋を外して基板とカメラユニット、左右のマイクが見える様になりました。
基板の目視チェックは小さすぎて老眼には辛い
ここまでアプローチして、遠視対策のために買ったヘッドマウント・ルーペを使って基板を目視チェックしましたが怪しいところは見つかりません。ちょっと見ただけで半田付けの質が悪いのが分かります。これを片っ端から修正するのは勘弁して欲しいので手をつけたくありません。

原因は半田クズだった
プリント基板裏側で半田クラックが起きている可能性が高いので取り出しました。ひっくり返して見ているとテーブルの上にコツンとモノが落ちた小さな音がしました。正体は小さな半田クズでした。これが原因じゃないかな?
半田クズがどこの位置に有ったかはわかりませんが明らかに怪しいです。こんなものが混入している時点で品質管理に問題アリですけどね。

基板の写真
誰かの役に立つかも知れないので裏側も写真撮っておきました。中央にある白いシートは放熱シートです。写真背景に写っているケースの銀色プレートが放熱板になっており、正方形に飛び出している部分がこの放熱シートに密着する形で組み立てられています。

カメラモジュールは手で触ると前後するのでオートフォーカスの動作だとわかりました。レンズ部分が多少前後に可動する構造となっていますね。

原因が取り除けたので動作確認
先に記した通り、半田クズが落ちてきたのでおそらく内部で転がって障害を誘発していたと思われるため、ケースから取り出したままの状態で動作確認をします。ブルーのLEDはカメラが動作中に点灯する仕様になっていますので、PCにUSBケーブルを接続してからカメラアプリを起動してしばらく様子をみました。ヒートランテストの開始です。

無事に30分程のヒートランテストをクリアしたので(不具合はUSB接続後10分以内に症状が出ていた)、手順をさかのぼって組み立てをしました。乱視+遠視の私には小さいネジの種類を見分けるのが実に苦痛だったので、経験上、分解する時にネジは分類しておくことをおすすめします。

組み立て後も左右のブルーLEDがきちんと点灯しており、1時間以上稼働させても全く問題が起きなくなったので、分解修理は無事に成功です。
最後に
内部に落ちていた半田クズのせいで新品購入時から不安定な動作を強いられた私としては、メーカーの品質管理の悪さを嘆いてしまいます。組み立て工程に問題があるとも言えそうです。ケースに組み込む前に基板上のチェックを行っていないのが問題でしょう。
このロジクールもどうせメイドイン・チャイナだと思います。やはり製造メーカーは順序立てて動作確認をする等の品質管理が必要だと思います。もちろん日本国産であっても製造中に不良品は出ます。問題は不良品をそのまま市場に出してしまうか、瀬戸際で発見して不良品として弾いて出荷しないかでメーカーの品質(信頼性)が変わってくるのです。
昔ののメイドインジャパンの良さはそういう所にあったと思いますが、国産のものづくりにおいては、品質管理=信頼性・信用ということを重視して製品開発された歴史があります。製造を中国に移したメーカーも多いので今となってはそういうノウハウも忘れ去られてしまったのかも知れません。(もしくは指導していても横着してチェックを怠っているとか・・)
ロジクールの保証について
ロジクールは初期不良はすぐ交換してくれる保証の点ではとても評価していますが、保証期間内に不具合が発生せず保証が切れて不具合が発生すればそれまでです。ロジクールの保証期間の長さは、故障が発生しクレームとなった場合のサポートの手間を省力化するために、新品と交換すると言う欧米的なサポートです。
個人的に感じた反省点としては、横着せず保証期間内のうちに修理(交換)依頼をしておけばこんな手間をかける必要は無かったのに・・と後悔しつつ、乱視+遠視に悩まされる様になってもルーペがあればまだまだ細かい修理も可能だなと、オヤヂの仲間入りしてしまったエンジニアとしては「まだ俺の技術も通用するかな?」とニヤリとしてしまいます。
もちろん分解、組み立てにおいて破損などは生じさせていません。シールは剥がしたので元通りってわけには行きませんが使う分には全く問題ないし、そこに気づかれなければ一度分解したこともわからないレベルでは仕上げています。
こういう細かい作業に際しては細部は見えにくいので老眼と眼精疲労は感じますが、それでも合格点は取れていると思います。ともあれ無事に直ったのでまだまだ使えそうです。C920tの画質はWebカメラにしては良い方だと思うので、これからも使っていこうと思います。
コメント
同じような感じでC920が認識しなくなるトラブルを抱えていて
Google検索で偶然辿り着きました。
非常に参考になりました。貴重な情報記録ありがとうございました。
Logiに依頼して修理(新品交換)してもらうか、Amazonに返品するか考えたいと思います。
コメントありがとうございます。
参考になったみたいで良かったです。
保証や交換が適用されるのであれば、分解しない方が良いですね。
私の場合は保証切れだったので覚悟を決めて分解修理しました。